2024年9月1日日曜日

[積読立斜読読] 『昭和歌謡史 古賀政男、東海林太郎から、美空ひばり、中森明菜まで』(刑部芳則 (おさかべよしのり)著、中公新書、2024年)

 『昭和歌謡史 古賀政男、東海林太郎から、美空ひばり、中森明菜まで』(刑部芳則 (おさかべよしのり)著、中公新書、2024年)



著者は1977年生まれ、日本近代史が専門、日大商学部教授。同じ中公新書でNHK朝ドラ『エール』で主人公になった『古関裕爾』(2019年)を執筆されてます。

新書で400ページ近い労作。ほぼ編年体で最終的な個別の「曲」を考察していくという手法で資料的な価値は高いのかもしれませんが読んでいて面白くなく残念です。

紙面の関係で曲の時代背景の記述が少なく、年表がなく、索引もありません。またマスメディアの発展と、曲の媒体(SP、EP、CD、ネット)、国民所得の変遷、等が歌謡曲の盛衰に大きく関与しているはずですが、この記述はありません。

おそらく著者は楽器をされたない方だと思われます。レコード会社専属の作詞家・作曲家による曲の制作から、ニューミュージック系のアーティストによる影響も大きかったと思われますが、大瀧詠一、松本隆らによる、はっぴいえんどの影響の記述が一切ありませんでした。残念です。




画像(wikipedia)は当方が中学3年生であった1973年の紅白歌合戦のものですが、あまり熱心な歌謡曲ファンではない当方でも、現在でもほとんどの曲を口ずさむことができます。現在の中学3年生は後年流行歌の歴史を振り返ってみて同じような状況にはならないでしょう。歌謡曲が時代と同時に流れていた、まさに流行歌≒歌謡曲の時代でした。この理由の深堀がほしいところです。


2~3トリヴィア的な知識を得た以外は収穫がありませんでした。




<内容紹介>

日本人の心を躍らせ、泣かせてきた昭和の歌謡曲。その礎は中山晋平、西條八十が築き、三大作曲家の古賀政男、古関裕而、服部良一によって確立する。時代は戦争、敗戦と復興、高度成長へと進み、視聴手段もレコード、ラジオからテレビへと変化する。本書は作詞家、作曲家、歌手らが残した膨大な史料を用いて実証的に考察。数々の名曲が生まれた背景とその特徴を炙り出す。人はなぜ昭和歌謡に魅了されるのか。


https://www.chuko.co.jp/shinsho/2024/08/102818.html


<著者プロフィール>

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

刑部 芳則(おさかべ よしのり、1977年[1] - )は、日本の日本史学者。専門は日本近代史、昭和歌謡史にも精通する[1]。日本大学商学部教授[2]。東海林太郎音楽館学術顧問[3][4]。


人物

東京都生まれ[1]。2010年中央大学大学院文学研究科博士課程修了[1]、「明治国家の服制と華族」で博士(史学)[5]。2003年日本風俗史学会研究奨励賞[6]。


NHK大河ドラマ「西郷どん」(2018年)で軍装・洋装考証[3]、連続テレビ小説「エール」(2020年度前期)[1][3]および「ブギウギ」(2023年度後期)[7]では風俗考証、「虎に翼」(2024年度前期)では制服考証(戦前期の判事・検事・弁護士の法衣など)[8]を担当した。



<目次>アマゾンより

■本書の目次

はじめに

序章 昭和歌謡の夜明け前 

「流行歌」と「歌謡曲」/「昭和歌謡」とは何か/中山晋平が築いた基本形態/西條八十の改心/「流行歌作りの天才」古賀政男/国民的作曲家・古関裕而/服部良一は日本ポップスの元祖/レコード産業の勃興―外資系と国産会社―

コラム1 古賀メロディーは「演歌」ではなく歌謡曲

第一章 昭和歌謡の夜明け――昭和三年~一三年(一九二八~三八)

流行歌手第一号・佐藤千夜子/「東京行進曲」をめぐる論争/芸者歌手第一号・藤本二三吉/オペラ華やかな時代の歌手たち/藤山一郎の登場/現実を直視した歌と逃避した歌/時局を色濃くあらわした歌謡曲/柳を愛した西條八十/天才がライバル視した江口夜詩/苦労する古関裕而と服部良一/松平晃とミス・コロムビア/芸者歌手/小唄の女王・小唄勝太郎の人気/「東京音頭」フィーバー/「大阪音頭」で対抗するコロムビア/「大名古屋祭」から始まる地域振興の行進曲/豆千代と音丸/天才に対抗する佐々木俊一/東海林太郎の登場/スカウト歌手の小野巡/楠木繁夫の活躍/デュエットソングの登場/藤山一郎と古賀政男の再会/ジャズで歌謡曲を歌うディック・ミネ/内務省が敵視した甘い歌声/「ねぇ小唄」の流行と取締り/「トンガリ五人組」の明暗/上原敏の活躍と「やくざもの」の位置づけ

コラム2 芸能界を追放された初の歌手・橋本一郎

コラム3 流行歌によって変わった童謡

コラム4 昭和歌謡と韓国歌謡とは兄弟

第二章 戦時歌謡――昭和一二年~一五年(一九三七~四〇)

戦時歌謡が流行った時代/ブルースの女王・淡谷のり子/戦線と故郷をつなぐ心の絆/戦時下の母と子を歌った「母もの」/泥沼化する戦線の「たよりもの」/戦場の風景を描いた「兵隊もの」/「軍歌の覇王」古関裕而の人気急上昇/「愛国行進曲」から盛り上がる国民歌/大衆が涙を流す「父よあなたは強かった」/映画『愛染かつら』の主題歌「旅の夜風」の大ヒット/「流行歌作りの秀才」万城目正の活躍/服部良一の斬新なメロディー/ラジオでヒット曲が流れる頻度は少ない/ヒット曲は街のなかから聞こえる/歌う映画女優・高峰三枝子/上海ブームと花売娘と踊り子/苦労したイケメン歌手・伊藤久男/灰田勝彦のヒットと受難/中国大陸の戦地から流行した「誰か故郷を想はざる」/日本が建国されて二六〇〇年の奉祝ブーム/流行歌界の栄枯盛衰/服部メロディーに見る「本音」と「建て前」/戦争遺家族に送る鎮魂歌「戦場初舞台」/開戦前のモダニズムの輝き

第三章 暗い戦争と明るい歌謡曲――昭和一六年~二〇年(一九四一~四五)

国策を重視し、大衆性から離れる/スパイに注意せよ/皇族たちも楽しんだ「瑞穂踊り」/戦時経済や生活を題材にした作品/意外にも少ない発売禁止/ビクターのヒット戦略/日本文化の「舞踊歌謡」というカムフラージュ/服部良一は戦時歌謡を作らなかった?/古賀メロディーの明朗路線の魅力/太平洋戦争中のヒット曲/古関裕而のヒットの秘訣/幻のレコード「同期の桜」/新譜よりも愛される旧譜

第四章 戦後復興の歌声――昭和二〇年~三三年(一九四五~五八)

忘れられたヒット曲と生き残ったヒット曲/生き残った国民の生きる希望/復員船が港につく光景/米兵に体を売る女性たち―一億総懺悔の歌―/平野愛子の明さと暗さとが交わるブルース/岡晴夫の花売娘、パラダイス、小鳩シリーズ/ブギの女王・笠置シヅ子/終戦後の世相を反映した「ズルチンボーイ」/遅咲きの近江俊郎と古賀メロディーの復活/シベリア抑留生活を支えた歌/長崎にザボン売りはいなかった/ハワイへの憧れ/青い山脈/天才少女歌手の登場/リルを探して三千里/NHK『紅白歌合戦』の放送開始/渡辺はま子の歌声が救った一〇八名の命/二つのワルツ―洋楽と邦楽のせめぎ合い―/歌手人生をかけた「赤いランプの終列車」/「野球けん」ブーム/歌舞伎から生まれた「お富さん」と「与三さん」/シベリア抑留という戦争の傷跡/戦争の傷跡を背負った子供たち

第五章 歌謡曲の新旧交代――昭和三〇年~三九年(一九五五~六四)

望郷歌謡/「ふるさと路線」の王者・三橋美智也/職業歌謡/吉田正と都会派のムード歌謡/男女の発展場と別れのシーンの変化/島倉千代子の作品変化/第一回レコード大賞―歌謡曲の新旧交代―浪曲の終焉/和製ポップスと外国曲のカバー/西田佐知子の記憶に残った歌/御三家と青春歌謡/遠藤実と歌謡曲の変化/市川昭介と歌謡曲の変化/「演歌」を生んだ船村徹/オリンピック東京大会と「東京五輪音頭」

コラム5 音頭はイベントの定番曲

第六章 歌謡曲の細分化――昭和四〇年~四九年(一九六五~七四)

歌謡曲の曲がり角/『なつかしの歌声』/『紅白歌合戦』に対抗する『なつかしの歌声・年忘れ大行進』/NHKの『思い出のメロディー』/昭和天皇の侍従も見た「年忘れ」と「紅白」/「軍歌ブーム」と消えていく戦時歌謡/懐メロのカバーでも「演歌」とそれ以外とに分離/グループ・サウンズの台頭/ムード歌謡/ご当地ソング/ピンク映画とアダルト歌謡/任侠映画と「演歌」/学生運動の若者と中高年から支持される「演歌」/なかにし礼の戦争体験から生まれた/「希代のヒットメーカー」筒美京平/阿久悠の登場/結婚生活と同棲生活との新旧価値観

コラム6 委託盤の帝王と女王―三鷹淳とわかばちどり―

コラム7 ホステス歌謡とホステス歌手

第七章 歌謡曲の栄光から斜陽――昭和五〇年~六三年(一九七五~八八)

不滅と思われた歌謡曲の行方/テレビの普及とレコードの拡大/『スター誕生!』と『君こそスターだ!』/こんなにもあった賞レース/山口百恵のスター性/キャンディーズとピンク・レディー―踊る歌謡曲―/岩崎宏美の歌唱力/昭和歌謡の父・古賀政男の逝去/歌謡曲に近づくニューミュージック/名編曲家の萩田光雄と船山基紀/どこからが「演歌」、どこからが歌謡曲/歌謡曲・演歌・ニューミュージックの分離/シティーポップの不思議な新鮮味/シティーポップに哀愁はないか?/「演歌」に組み込まれた歌謡曲/ポップス寄りの歌謡曲と「演歌」寄りの歌謡曲/アイドルに生き続けた歌謡曲

コラム8 よく聴くとそっくりな歌

コラム9 渡辺宙明、水木一郎、堀江美都子の特ソンとアニソン

終章 昭和歌謡は輝いている

1990年のJ-POPという大波/昭和歌謡番組とショーレースの終焉/歌謡曲が枝分かれした結末/筒美京平の限界/阿久悠の「昭和歌謡」への想い/ニューミュジックも歌謡曲に聴こえてしまう/歌謡曲は健在

あとがき

参考文献 

註

[HIP] 8月31日(土曜日)国際フェスタ向けテキスト作り 

 

MTはレストハウス2階のピアノカフェ


主に平和公園で英語でボランティアガイドを行うHIPという団体で活動しています。

本日は11月に毎年行われる「国際フェスタ」でHIPが担当している「英語で広島をガイドする」テキストの制作。最終原稿案の作成をしました。男女6名が参加されました。


・シュモ―ハウス

・江波山気象館(旧広島気象台)


皆さんで協同したテキストはこんな感じです。




<国際フェスタ>

国際フェスタは、主に広島市内で国際交流・協力活動を続けている市民団体、企業などが中心となって、平成12年度(2000年度)から毎年開催しているイベントです。

様々な国際交流・協力に関する事業を行い、在住外国人を含む参加市民に、楽しみながら外国文化に触れていただき、国際交流・協力、多文化共生に対する理解を深める機会を提供することを目的として開催しています。

公益財団法人 広島平和文化センター・国際市民交流課

2024年8月31日土曜日

[惹句どんどん] なかにし礼(作詞家)

 


 

私の作った歌は、

昭和という時代を映す鏡でもあった。



p352

平成へと元号が変わって、職業作詞家たちも活躍の場を失った。

なかにし礼は「私の作った歌は、昭和という時代を映す鏡でもあった」と自負しながら、「平成に変わった瞬間、自分が歌を作る必然が失われたように感じた」と書き残している。

『昭和歌謡史』(刑部芳則著、中公新書、2024年)より


[晴れ時々英語のお勉強] 中村澄子『炎の千本ノック!とことん文法徹底攻略』(祥伝社、2024年) FOCUS-8 等位接続詞 and Focus-10 等位接続詞 but

 


FOCUS-8 等位接続詞 and


前後の「語」「節」「句」を対等な関係で結ぶ。


語と語

research and development

a simple and sost-effective way


句と句

Work reports and schefule adjustments are sontinually updated throughout the term of the project.


節と節

I like pasta and Katharine likes pizza.

The Talon electric car requires little maintenance and its software systems are upgraded remotely throughout the entire life of the vehcle.



Focus-10 等位接続詞 but


前後の「語」「節」「句」を対等な関係で結ぶ。前後の内容が対比関係になる。


Any registered member of the media will be permitted to interview performets, 

but not without a press pass.


Forest City Renovations no longer accepts credit card payment, 

but moost other formes of cashless transactioons are available.


[memo]

句(phrase)

2語以上の語が全体で1つの単語(名詞・形容詞・副詞)と同じ働きをする。

節と違ってS+Vを含まない。

句として働くものは不定詞、動名詞、分詞、前置詞句がある。


節(clause)

句とは違って、S+Vを含むかたまりのことを節という。

説には等位接続詞で導かれる等位節と、従属接続詞・関係詞・疑問詞によって導かれる従属節がある。

[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 395—404

 405 雛僧のただ風呂吹と答へけり



[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 395—404


395 遠く見る枯野の中の烟かな


396 暗がりに雑巾を踏む寒哉


397 冬ざれや貉をつるす軒の下


398 凩や岩に取りつく羅漢路


399 巌窟の羅漢どもこそ寒からめ


400 釣鐘に雲氷るべく山高し


401 凩の鐘楼危ふし巖の角


402 梯子して上る大盤石の氷かな


403 巖頭に本堂暗き寒かな


404 絶壁に木枯あたるひびきかな


405 雛僧のただ風呂吹と答へけり


384から390まで 宇佐八幡にての句。

398 「羅漢寺にて」と前書。

398から407まで同所の作。

羅漢寺は大分県耶馬渓町にある曹洞宗の寺。五百羅漢などの石像がある。

405 雛僧―幼い修行僧。ただ風呂吹―危険を超越した心境を示す答え。




[積読立読斜読] 『凡事徹底「一日一話」』(鍵山秀三郎著)9月1日~9月7日

 







2024年8月29日木曜日

[あの頃のレコード] Fairground Attraction "The First of a Million Kisses" (1988)

再結成時



 [あの頃のレコード] Fairground Attraction "The First of a Million Kisses" (1988)


定期購読している雑誌『レコード・コレクターズ』(2024年9月号)の特集で初めてこのバンドを知りました。1987年にイギリスでデビューしシングルとアルバムとも全英1位を獲得しましたがアルバム1枚であっさり解散。なぜか2024年に再結成してアルバムも発表し日本公演も行っているという変わったバンドです。編成はこのバンドの一番の魅力である女性ヴォーカルのエディ・リーダー、ギターのマーク・E・ネヴィンを中心に、なぜかほとんどブラシで叩くドラマーのロイ、メキシコの民族楽器ギタロンをベース代わりに奏でるサイモン(このギタロンのベースが良いです)。ジュディ・ガーランドに憧れ、ジャズの要素が強いヴォーカルと「すべてにおいて流行っていることの反対をやりたかった」というマークの戦略で、デビューしたときから既にノスタルジックな不思議なサウンドのバンドになりました。


当方は来日公演記念で再発となったカラー版を入手。アルバムジャケットは写真家エリオット・あーウィットによる、これもノスタルジーなもの。


秋の夜長に、アナログでじっくり聴きたいアルバムです。


リリース日:2024年6月19日(水)

品番:SIJP-1097

価格:4,400円(税込)

国内プレス/クリアーレッド/歌詞・対訳、メンバー最新コメント掲載


TRACKLIST

Side A

1. 愛の微笑み

2. パーフェクト 

3. ムーン・オン・ザ・レイン

4. ファインド・マイ・ラヴ 

5. フェアーグラウンド・アトラクション

6. 風が知ってる私の名前


Side B

7. クレアー

8. コメディ・ワルツ

9. ムーン・イズ・マイン

10. 駅前通りの子

11. ウィスパーズ

12. ハレルヤ

2024年8月28日水曜日

[積読立読斜読] 『英語で日本語を考える』(片岡義理著、ちくま文庫、2024)その3

『男はつらいよ』の寅さんのタンカ「私、生まれも育ちも葛飾柴又です」

の英訳はかなり難しそうです。 


片岡義男さんがハワイで見た『男はつらいよ』では字幕が"I was born in Tokyo."だったそうで、「思わず笑った」そうです。


片岡さんの模範解答は。


「私、生まれも育ちも、葛飾柴又です」

I'm from Tokyo, born and raised.


「私」と読点の「、」までが、"I'm from Tokyo,"なのでしょう。





「いくらですか」

What is the price on this?

How much?は「銭なんぼ」に等しく、上品でない。



「価格破壊」

price breakthrough


「環境に優しい」

environmental friendly

「史上最悪の」

beyond anything world has ever seen


「ただちに目に見えるかたちでの結果」

immediate and measurable results


「煙草を吸ってもいいですか」

Would you mind if I smoke?

≒Do you mind if I smoke?
(あまり丁寧でない)


「この話を私から聞いたなんて、誰にも言ってはいけないのよ」

Don't let anybody know I told you this.

≒Don't tell anybody I told you this.

Nothing that passes between us goes elsewhere. OK?


「これにめげたらだめよ」

Don't let is get you down.


「これにめげずに、今日も頑張って」

Don't let this spoil your day.


「ひとりで自分を見つめる時間です」

My private time to be alone with my thoughts.


「私、生まれも育ちも、葛飾柴又です」

I'm from Tokyo, born and raised.

[その他] 広島市より「高齢者いきいき活動ポイント手帳」届きました

 広島市在住の65歳以上の人に配布。







[新聞記事] 序破急 イライラ電車とピリピリ電車 朝日新聞論説主幹・山中季広

 2024年8月26日(月曜日)付、朝日新聞。


「海外に出張して時間が空くと、好んで地下鉄に乗り込む。その国の素顔みたいなものが見える気がするからだ。」


当方の限られた海外経験によると、地下鉄に限らず、その国の公共交通機関は、その国の国民性を表しているような。




[積読立読斜読] 『オパールの炎』(桐野夏生著、中央公論社、2024年)


 新聞に書評が載っていたので、久しぶりに桐野夏生さんの小説を読みました。

1970年代に「中ピ連」を率いた女性活動家・榎美沙子をモデルに、日本の男性による女性支配開放の先駆者を描いた快作です。

桐野さんの題材はあまり日常生活では触れられたくない心痛なものが多いのですが、実在の榎美沙子の現在の所在がわからないことを除けば、

モデルに対しては意外にも肯定的な書かれ方をしています。


小説の構成としては一人称語りとせず、30代の女性ルポライターが関係者からの証言を組み立てるという構成で、最後に未発掘の手記が見つかるという構成です。


女性が社会に対して闘わなくてもよい時代が早く来るとよいです。表紙は女性の生殖器を想像させ、気持ち悪いです。



桐野夏生さん新作「オパールの炎」 女性抑圧と国の生殖管理問う

2024/07/08 05:00


スクラップ

 桐野夏生さん=写真=の新作『オパールの炎』(中央公論新社)は、1970年代、「女性の体は自分で管理すべきだ」と、当時未承認だったピルの解禁や中絶の自由化を過激な行動で訴えた女性を巡る架空のノンフィクション風小説だ。同じ行動を取った実在の女性を「肯定したい気持ち」が、困難な執筆に駆り立てた。


 ピンクのヘルメット姿でデモなどを行い、不倫をした男性も糾弾する。中ピ連(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合)などを率いた榎美沙子さんの言動は1973年頃から、世間を騒がせた。桐野さんは当時、米から広がった女性解放運動に関心を持つ大学生。「小気味いいし、先頭に立って運動していることを尊敬していた。途中から派手なことをして少し心は離れたけれど、今回その生涯を知りたくなった」


 当初、評伝的小説を考えたが、日本女性党をつくり候補を立てた77年の参院選に敗れ、「家庭の主婦に戻る」と中ピ連を解散させて以降の足取りが分からない。元夫や幼なじみら3人には話を聞けたものの、それ以外は想像力を駆使。塙玲衣子という女性を探る「証言集」として小説化した。「(聞き手の)ライターは私みたいなもの。間違った推論はしたくないし、すごく苦労をして書きました」


科学的視点による女性解放運動に共鳴しながら、マスコミ受けを狙う戦略に失望した元同志、浮気糾弾で家庭が崩壊した父親の息子……「塙」を巡る証言は、国家が女性の性を管理する問題点や男女間の溝、女性解放運動内の対立も浮かび上がらせる。なぜ彼女が姿を消したのかという謎に迫りながら。「日本では国が生殖を管理するような期間が長かったし、女性への抑圧も激しい」という作家の問題意識も反映された。


 中ピ連から半世紀。性犯罪被害をSNSで共有する#MeToo運動も広がっている。「当時、SNSがあったら、榎さんも色物扱いされるやり方をしなくても良かったかも。彼女の主張は正しかったし、大衆に受けるための情宣活動としてまじめにピエロをやったのでは」


 「女性の体」を巡る作者の小説では、代理母出産がテーマの『燕は戻ってこない』もテレビドラマ化された。「面白いのは担当編集者がどちらも30代の女性なこと。そういうものを書いてほしいという若い世代の熱意を感じたし、私だけだったら少し違ったものになったかもしれない」(文化部 佐藤憲一)


https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/20240707-OYT8T50019/

読売新聞オンライン

[書評] 『オパールの炎』(桐野夏生著)、『古くて新しい国 ユダヤ人国家の物語』(テォドール・ヘルツル著)

 



[新聞記事] セブンイレブンに買収提案 カナダのコンビニ大手