405 雛僧のただ風呂吹と答へけり
[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十二年 395—404
395 遠く見る枯野の中の烟かな
396 暗がりに雑巾を踏む寒哉
397 冬ざれや貉をつるす軒の下
398 凩や岩に取りつく羅漢路
399 巌窟の羅漢どもこそ寒からめ
400 釣鐘に雲氷るべく山高し
401 凩の鐘楼危ふし巖の角
402 梯子して上る大盤石の氷かな
403 巖頭に本堂暗き寒かな
404 絶壁に木枯あたるひびきかな
405 雛僧のただ風呂吹と答へけり
384から390まで 宇佐八幡にての句。
398 「羅漢寺にて」と前書。
398から407まで同所の作。
羅漢寺は大分県耶馬渓町にある曹洞宗の寺。五百羅漢などの石像がある。
405 雛僧―幼い修行僧。ただ風呂吹―危険を超越した心境を示す答え。

