2022年11月5日土曜日

[積読立読斜読] 『最後の大君』(F・スコット・フィッツジェラルド著、村上春樹訳、中央公論新社、2022年)


 1940年12月、44歳で急逝したF・スコット・フィッツジェラルドの最後の未完の長編小説。原題は"The Last Tycoon"です。


通説では半分までで中断しており、村上春樹さんが訳されたのは作者の大学時代からの友人であり高名な文芸評論家であったエドマンド・ウィルソンが断片原稿やメモ(梗概・プラン)を再構築して、なんとか完成版の小説が想像できるようにして出版にこぎつけたもの。1941年、スクリブナーズ社から刊行された「エドマンド・ウィルソン版」を下敷きにされています。


翻訳書の一時期の隆盛はなく、村上春樹さんの新訳版をもってしても、売れ行き好調とはいかないようで、平台にはなく、かなり狭まってきた翻訳本に一冊だけ在庫がありました。


大恐慌後の勃興するハリウッドの内幕劇で、せせこましい現代から、当時の絢爛たる舞台を想像するのはなかなか難しいかも知れませんが「悠揚迫らざる」読書もたまには必要では。


アマゾン・オリジナルのTVシリーズ"The Last Tycoon"(2016 - 2017)もIMDBのレイトでは7.6と高評価でしたのでこちらもお見逃しなく。



<内容紹介>(中央公論新社のサイトより)

舞台はハリウッドの製作現場、主人公は辣腕プロデューサー。映画界に君臨するこの男を待ち受けるのは、運命の出会い、そして悲劇の影。〈ギャツビー〉の先を目指した未完の遺作が、新しい翻訳で鮮やかに甦る。フィッツジェラルド最後の長編小説。

https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/04/005502.html


ちょっとスノビッシュな華麗なる文体(なのだろう)は「フィッツジェラルド・タッチ」と呼ばれるそうですが、冒頭の飛行機の中のなにげないシーンにも、唸らせられます。

ちょっと長くなりますが、村上さんの訳と一緒にどうぞ。


 The stewardess - she was tall, handsome and flashing dark, a type that they seemed to run to - asked me if she could make up my berth. 

 “--and, dear, do you want an aspirin-” She perched on the side of the seat and rocked precariously to and fro with the June hurricane. “ - or nembutal-” 

 “No” 

 “I’ve been so busy with everyone else that I’ve had no time to ask you ” She sat down beside me and buckled us both in. “Do you want some gum-” 

 This reminded me to get rid of the piece that had been boring me for hours. I wrapped it in a piece of magazine and put it into the automatic ash-holder. 

 “I can always tell people are nice,” the stewardess said approvingly, “if they wrap their gum in paper before they put it in there ” 

 We sat for awhile in the half-light of the swaying car. It was vaguely like a swanky restaurant at that twilight time between meals. We were all lingering- and not quite on purpose. Even the stewardess, I think, had to keep reminding herself why she was there. 


P11

スチュワーデスは長身の美人で、煌めくような黒髪、男たちが飛びついていきそうなタイプだった。彼女がやって来て私に「寝支度をしてあげましょうか」と尋ねた。

「―それから、アスピリンみたいものはいるかしら?」、彼女は座席の脇にちょこんと腰掛け、六月のハリケーンのせいで不安定に身体を揺らせていた。「―それともネンブタール[睡眠剤]とか」「いいえ、けっこうです」「他のお客様のお世話で忙しくて、なかなかここに来られなかったの」、彼女は私の隣に腰を下ろし、二人分のシートベルトを締めた。「ガムはいらない?」

そう言われて私はやっと、もう何時間も自分をうんざりさせていたもののことを思い出し、それを口から出さなくてはと思った。それを雑誌の切れ端で包み、備えつけの灰皿の中に捨てた。「他の人たちもみんなそうしてくれるといいんだけど」とスチュワーデスはありがたそうに言った。「そこにガムを捨てる前に紙で包んでくれさえすればね」


私たちはゆらゆら揺れる飛行機の、仄(ほのか)な明かりの中で、しばらく一緒に座っていた。それはどことなく黄昏時の、まだ食事時間になる前の高級レストランを思わせた。私たちはみんなぐずぐずしていた―とくにこれという目当てもなく。見たところそのスチュワーデスさえ、自分が何故そこにいるのか、始終思い出していなくてはならないようだった。


[惹句どんどん] Alice Morse Earle(アメリカの歴史作家)

 


Yesterday is history.
Tomorrow is a mystery.
Today is a gift.
That is why it is called the present.


Alice Morse Earle (April 27, 1851 - February 16, 1911) was an American historian and author from Worcester, Massachusetts.

スタディサプリ講師の関正生さんの決定版『真・英文法』(KADOKAWA、2022年)より


2022年11月4日金曜日

[積読立読斜読]『ムダな努力はない 人生の行動指針220』 186 - 190

 







[晴れときどき英語のお勉強] 『英文法授業ノート』 105 前置詞 (prepositions) ① in, at, on


 105 前置詞 (prepositions) ① in, at, on


[解説]


前置詞(1)

名詞の前に置いて「場所」「時」などを示す(副詞)のはたらきをする


The girls danced on the state on that day.


「前置詞+名詞」の"on"はいずれも動詞"danced"を修飾


前置詞(2)

名詞の後に続けて「その名詞について説明」を加える(形容詞)の働きをする


The girls on the stage danced happily.


前置詞句"on the stege"は前の名詞girlsを修飾

「そのステージの上の」→女の子たち




基本イメージ「場所」

in 内部 at 一点 on 接触


基本イメージ「時」


in 期間の中     at 時の一点 on 特定の時



[例文]


1 What's in the envelope?


2 I arrived in Tokyo the day before yesterday.


3 I'll arrive at Haneda at this time tomorrow.


4 Please look at the map on the wall.


5 There are 29 days in February in a leap year.


6 My niece was born on February 29th in 2012.


7 The university library closes at five in the afternoon on Saturday.


※ in 場所の内部

「~の中に」(容器の中など)

「~に/で」(広がりのある空間の内部(イメージ))


※ at 場所の一点

「~に/で」(広がりを意識しない点)


※ on 場所との接触

「~に」(何かがくっついている)


※ in 期間の内


「~の中に」(ある程度幅のある期間(年月))

in Feburuary / in a leap year


※ on 特定の時

「~に」

クリスマスや誕生日などの特定の日

cf. on February 29th 

「〇月〇日」


※ at 時の一点(時刻)

「~に」


at noon

cf. in the afternoon 「午後に」








[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(79)




流寓抄以後


その一


754 道づれの一人はぐれしとんぼかな


755 朝寒や人のなさけのおのづから


756 冬霧の夜のなげきとはなりけり


757 ねこ舌にうどんのあつし日短か


758 熱燗のいつ身につきし手酌かな


759 冬ごもり閉じてはあける目なりけり


760 また一つ誤植みつけぬみかん剥く


761 縁は異なものとぞみかん剥く


762 沖に立つしら波みゆる枯野かな


763 クリスマス海のたけりの夜もすがら



[一日一禅] 白馬入蘆花 [はくばろかにいる] ふたつは同じに見えても、それぞれ世界にひとつだけ。

 P89

同じに見えて違うもの。

蘆花という白い芦(あし)の花々のなかに、白い馬が紛れこむ…。


P89

見かけに惑わされず、お互いの違いを受け入れていく。

あなたとみんなが同じではないように、

まったく同じ意見もないものなのです。




2022年11月1日火曜日

[あの頃のレコード] The Band "Rock of Ages"(1972) Side Three


 ロックのライブ・アルバムの傑作の誉れ高いザ・バンドの"The Rock of Ages"(1972)。アナログ・レコードだと2枚組で本日はSide Threeの紹介です。


この面もライブでの定番曲、ザ・バンドを代表する曲が並んでいます。アルバム"Cahoots"から導入したアラン・トゥーサンのアレンジのホーン部隊を導入した曲(コンサートでは後半、レコードだと混載してあり演奏順ではありません)があり、音に厚みを加えています。現在ではライブでこれだけの音を出すロック・バンドはいなくなってしまいました。


録音は1971年の大晦日、December 28~31, 1971、ニューヨークの Academy of Music, New York Cityです。この時代、この場所に同席できた人たちを大変うらやみます。


曲調はスタジオ版に比べて、少しゆっくりしている感じがします。ロビー・ロバートソンのギターが大変「キコキコ」していて好みの分かれるところかも知れません。


参考にしている『ザ・バンド全曲解説』(五十嵐正著、シンコーミュージック、2021年)にはスタジオ録音の全曲解説で、ライブ盤では改めて解説はありませんでした。



Side three

1."The Weight" 5:32 "Music from Big Pink"(1968)

2."The Shape I'm In" 4:14 "Stage Fright"(1970)

3."The Unfaithful Servant" 4:48 "The Band"(1969)

4."Life Is a Carnival" Levon Helm, Robbie Robertson, Rick Danko

4:17 "Cahoots"(1971)


1."The Weight" 5:32 "Music from Big Pink"(1968)





2."The Shape I'm In" 4:14 "Stage Fright"(1970)



2022年10月29日土曜日

[惹句どんどん] スコット・フィッツジェラルド 『最後の大君』より


TVドラマ化されたそうでアマゾンで視聴できます

    自尊心を保つためには、


    みんなヘミングウェイの登場人物みたいに


    ならなくちゃならないのさ。





 P139

「君たちは派手に振る舞うことを期待されているんだよ」

とワイリーは言った。


「昔みたいにね。君たちが地味にせこせこやっているのを目にすると、

みんながっかりすることになる。

だから世の中は、突っ張ったしかめ面で満ちているんだ。

自尊心を保つためには、

みんなヘミングウェイの登場人物みたいにならなくちゃならないのさ。

しかしその仮面の裏では、彼らは過去を悼みつつ、

君たちを憎悪している。それは君にもわかるだろう」


彼の言うとおりだ。

私は知っていた。

1933年以降、金持ちは金持ち同士でいるときしか幸福にはなれないのだ。


『最後の大君』(Fスコット・フィッツジェラルド著、村上春樹訳、中央公論新社、2022年)より


現在読書中ですが、昔のハリウッドの絢爛たる雰囲気に慣れず、なかなか進まず。

[新聞記事] 外国語の扉 通訳案内士目指し 40代から猛勉強 72歳の英会話教室「イーオン」講師 日高由紀さん

 こういう人にあこがれます。

10月26日(水曜日)朝日新聞記事。




2022年10月26日水曜日

[一日一禅] 非思量 [ひしりょう] 心をからっぼにしてリセットしてみよう。

 座禅の効用。


「自然に心が整ってきて、

自分を迷わせていた雑念の存在が客観的に見えてきます。

坐禅を続けている間に、

あらゆる雑念が消え去って、

心が澄み渡ってくるのです。」




2022年10月25日火曜日

[晴れときどき英語のお勉強] 『英文法授業ノート』 104 数詞 (numerals/others) ③ 度量衡など

 



104 数詞 (numerals/others) ③

[金額]

$2.50 two (dollars) (and) fifty (cents)

$19.95 nineteen (dollars) (and) niety-five (cents)

euro 19.95 nineteen (euros) (and) ninety-five (cents)

£ 19.95 nineteen (pounds) (and) ninety-five (pence)


※1 pound = 1 penny × 100 [100 pence]


Yen 

¥113 one hundred and thirteen yen

1万円   ¥10,000 ten thousand yen

10万円  ¥100,000 one hundred thousand yen


(×)yens yenは複数形にしない



[温度]

華氏 ℉ 86℉ eighty-six degrees Fahrenheit ドイツの物理学者

摂氏 ℃    30℃ thirty degrees Celsius スウェーデンの天文学者


Celsius ≒ Centigrade


※摂氏℃=(5/9)×(華氏℉ー32) (5/9)×(86-32)=30度



[数式]

1+2=3 one plus two equals three.

one and two makes three.


86-32=54 Eighty-Six minus thirty-two equals fifty-four.

Thirty-two from eighty-six leaves fifty-four.


54×5=270 Fifty-four multiplied by five equal two hundred (and) seventy.

Fifty-hour times five makes two hundred (and) seventy.


270÷9=30 Two hundred (and) seventy divided by nine equals thirty.


※equal/meke/leave/go の代わりにbe動詞をつかうこともできる



[その他]

長さ

1 mile ≒ 1.61 kilometers

1 yard ≒ 0.91 meters (91.44 centimeters)

1 feet ≒ 30.48 centimeters

1 inch ≒ 2.54 centimeters


速さ

1 mile/hour ≒ 1.61 kilometers/hour


重さ

1 pound ≒ 0.45 kilograms (454 grams)

1 once ≒ 28.35 grams


容積

1 gallon ≒ 3.79 liters

1 pint ≒ 0.57 liters





[積読立読斜読] 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)(78)



    一生に二度と來ぬ日の小春今日(けふ)



744 梅雨の灯の憑きし柱のほそりかな


745 汗涼し袖たくしあげたくしあげ


746 花火赤くあがりて青くひらきけり


747 夕燒のあへなく消えし案山子かな


748 一ぱいにさしてゐる日や松手入


749 一生に二度と來ぬ日の小春今日(けふ)


750 漱石忌餘生ひそかにおくりけり


751 金泥をもて枯蓮を描かむすべ


752 いろは假名四十七文字寒さかな


753 石摺りの襖に冬をこもりけり



石摺襖(読み)いしずりぶすま

精選版 日本国語大辞典「石摺襖」の解説

いしずり‐ぶすま【石摺襖】


〘名〙 石摺りの書画をはったふすま。

[その他] カフェダスティ―アーツ読書会『史上最強の哲学入門』(飲茶著、河出文庫)

 10月24日(月曜日)19時30分より

毘沙門台のカフェダスティ―アーツの読書会に参加しました。

今月の課題書は『史上最強の哲学入門』。

ネット上で哲学のブログを運営していた飲茶さんの本です。

以下は当方の発表用のメモです。


リファレンスという位置づけの入門書なので、哲学に興味をもって次のステップへ、

というのが正しい読書かなあ。






2022年10月24日(月曜日)
カフェダスティアーツ読書会 19:30~21:00
『史上最強の哲学入門』(2010年、サンマガジン・ムック)
(2015年、河出文庫)

・著者の飲茶さんの本は初めて(苦手)、読書会に合わない(リファレンス?)
・従来の学術出版ルートから外れた、ネット出身の作家
(『超訳ケインズ一般理論』訳者、山形浩生さんも同様)
出版の垣根を拡げることで歓迎
・コミックの板垣恵介さんの表紙(違和感)
・哲学ほとんど興味なく熟読してません(ごめんなさい)
・背表紙32人、内容は31人
・索引なし
・登場する哲学者、9割は名前は知っている、原著はアダム・スミス『国富論』のみ
・小学校、通過儀礼、切手、西周


・P13の年表
・哲学者を4つのカテゴリ(①真理、②国家、③神、④存在)は良い
→重要語、関連が分かりにくい(参考、出口治明さんの年表)

・P18
哲学の誕生、定住農業・都市の形成で交流が始まった(自分の神話が絶対ではない)
オーストラリア原住民・アボリジニに哲学・宗教はない

・印象に残った哲学者
デモクリトス(原子論)
レヴィ=ストロース(西洋哲学の否定)
レヴィナス(ポスト構造主義、他者)
ソシュール(世界を区別する言語学)


<結論>
・飲茶のペンネーム(P405,悟りの後のお茶、東洋哲学に出て来る)
・考えることで考えなくてよくなる
・世の中の現象の考える、フレームワーク
・哲学と宗教の違い(P206図解)
・カフェダスティアーツ読書会、過去の哲学書
第2回   孫子      (金谷 治)
第7回   生き方 -人間として一番大切なこと-(稲森和夫)
第8回   現代語訳 論語と算盤(渋沢栄一 / 守屋 淳[訳])
第20回  五輪書 現代語訳      (宮本武蔵 / 大倉隆二[訳])
第34回  武器になる哲学      (山口 周)
第35回  啓発録      (橋本左内 / 夏目賀央[訳])
第38回  君たちはどう生きるか      (吉野源三郎)
第50回  歎異抄     (唯円 / 金山秋男[訳])
第51回  君主論      (マキアヴェリ)
第57回  武士道      (新渡戸稲造 / 夏川賀央[訳])
第67回  葉隠     (山本常朝 / 城島明彦[訳])
第68回  代表的日本人    (内村鑑三 / 齋藤慎子[訳])
第71回  人新生の「資本論」(斎藤幸平)

・日本の哲学、「道」
・雨にも負けず、イマジン