流寓抄以後 その二
797 すべては去りぬとしぐるる芝生みて眠る
798 ほのぼのと醉つて來りぬ木の葉髪
799 老殘のおでんの酒にかく溺れ
800 煮大根を煮かへす孤獨地獄なれ
801 數珠下げていよいよ美女の寒さかな
802 鳥逃げし枝のさゆれや年の暮
803 ゆく年やしきりに岸へいどむ波
さゆれ:小揺
早苗取る手許の水の小揺(さゆれ)かな 高浜虚子