2016年1月1日金曜日

[積読立読斜読] 『正しい家計管理』(林總著、WAVE出版、2014年)


『正しい家計管理』という、やや高圧的な署名と、正反対の優しい表紙イラストに惹かれて購入してみました。

当方は家計簿等はつけたことがありません。当方がこの本を読む時期は少し遅すぎた感じもしますが、反省の意味も込めて。

一般的な「家計管理」の本は、家計簿をつけて標準的な家計と比較し、その予算内に家計を収めるというのが主眼なのでしょう。その予算内消化のための節約術というのも、もう一つの主流かも知れません。本書は従前の「家計管理」の本とは一線を画しています。著者は管理会計が専門のコンサルタントです。

(1)節約ではなく価値あるものにお金を使う
(2)削るのではなく価値をゼロから作り上げる

という2点で、家計簿の記帳が必須ではなく、厳しい節約も必要ないようです。著者のシステムは一度構築すれば自律的に作用して家計が黒字であり続ける(可能性が高い)そうです。

本書を要約すると企業会計の概念を簡素化して家計管理に応用したといえそうです。用語を簡便にしてあるのでかえってわかりにくくなってますが、企業会計の用語で置き換えると簡単に理解できます。

家計管理の前段階として、家計管理の目的が説かれています。

P11
自分と家族が現在も未来も幸せに暮らすこと

それは節約ではなく「支出」に注力しなければいけません。「価値あるお金の使い方」をよくよく考えるのです。

価値観をお金の流れという形で表した「家計」は、迷ったときにたち戻れるガイドラインとして、機能するようになります。

P15
家庭の価値観が反映されるのが「支出」なのです。

収入が高いことが家族の幸福には直結しないというのが著者の主張で、幸福は価値観への到達度で測るべきだということでしょう。要するに身の丈にあった生活をすれば家計は破たんしないのでしょうね。

P17
収入が低いことよりも実態が見えていないことのほうが怖いと私は思います。

会社は倒産すれば終わりだが、家計は破たんしても終わりではなく次の世代に負の遺産として残るので、「会社経営」よりも「家計管理」が重要と考える必要があります。

P21
家計の経営は一生の仕事です。絶対に倒産は許されません。

その原理原則は、

P21
毎月1円でもいいから純資産を増やすこと

となります。

以上が著者の考える「家計管理」の前提で、この前提があることが、本書が他の家計管理の書籍と一線を画している最大の理由だと思います。

これから家計を預かる、または預かって間がない自分の子供達に勧めたい家計管理の本でした。


以下は具体的なシステム部分になるので、箇条書き程度でまとめてみます。

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P24
預金は「管理不能支出」(=固定費)に入れる
預金は義務として考え、将来へのリスクへの備え、人生の転機への備えとする

クレジットカードは極力使わない(お金を使った実感がない、行動とお金の動きの不一致が家計を破たんさせる原因となる)

ダブルインカムは家計を「一元化」する

P30
必要なのは、テクニックではなくシステムです。
日々の努力ではなく「しくみ」です。

P33
「財産目録」用ノート(=貸借対照表)、「予算・収支」用ノート(=予算計画、損益計算書)の2冊のノートを用意する
ノートは手書きを推奨(数字をよく記憶でき、浪費が減る)

「財産目録」は当初月1回作成、慣れれば年1回で可。

P34
肝心なのは、「記録」より「見直し」です。
そして、その「見直し」によって、行動を変えることが大切なのです。


P58
第2章のまとめ
・2冊のノートを用意
・財産目録を作る
・昨年1年間の収支実績表を作る
・1年間の特別支出(毎月の固定費以外の支出)予測表を作る

P90
第3章のまとめ
・年間の収入予算を立てる
・ボーナスの予算を立てる
・管理不能支出(固定費)の予算を立てる
・管理可能支出(変動費)の費目(5つ以内にする)を決め、予算を立てる


P116
第4章のまとめ
・予算表(第3章で作成したもの)から管理不能支出を見直す
・やめられる管理不能支出を書き出す
・書き出した管理不能支出は、すぐに解約手続きをする

P94
削るべきは、一見、削れないように見える管理不能支出なのです。


第5章のまとめ(家計管理手順のまとめ)
<現金の流れ>(通帳を2冊準備)
①給与を入金専用口座に入れる
②特別支出のプール金を除き、支出予算額を入金専用口座から支払専用口座へ移す
③現金で管理する管理可能支出を支払口座から引き出し、封筒・財布に振り分ける(お金の支出の「見える化」、月間でなく週間(封筒4つ)で管理も有効)
④お金を使うたびにレシートを封筒(財布)に入れておく

<ノートへの記入>
①年始に「予算・収支表」に年間予算を書き込む
②月初の「予算・収支表」に月次予算を書き込む
③月末に「予算・収支表」に月次実績を書き込む
④月末に財産目録を作る(先月からいくら純資産が増えているか確認する)
⑤年末に「予算・収支表」に年間実績を書き込む


<特別支出の現金の流れ>(特別支出と月間の固定費は同額という家計が多い)
①予測年間特別支出を12等分した金額を毎月入金専用口座へ入れる
②使用時に入金専用口座から支払専用口座に移し、そこから支払う
③月末に「予算・収支表」に実績を書き込む

第6章のまとめ
・10年間の支出予測票を作る
・「財産目録ノート」に10年後と定年後の財産目録を作り、整合性を持たせる
・定年後のマネープランをイメージする

P167
ダメな家計や会社経営に共通しているのが「中期・長期視点」の欠如です。

P180
著者の老後設計
夫婦の月の生活費を年金収入と仕事の収入で確保。預金で旅行というプランです。

P184
収入の多さではなく、1時間あたりの満足度が幸福度を決める

限られた1時間を、自分がもっとも価値をおいているものに集中させられたか。
どれだけ自分と家族を満足させることに使えたか。それが、私たちの幸福度を左右します。