デジタル社会では持たざる国のほうが改革が早いかも。
不定期連載「10日と25日は'Punk in'(パン喰い)の日」(必ずしも日付適合せず)。
本日は江田島に墓参で帰省したので、本家の墓の同じ町内にある天然酵母・石窯のパン屋さん「しまのぱん souda!」に伺いました。
カンパーニュ、オリーブパン、フォカッチャ、パンプディング等で2000円強の買物。
店舗は古民家を改装したもので、大変わかりにくい場所にあります。
本日はお盆期間なのか「意識高い系」の若い家族連れで賑わっておりました。
<店舗情報>
〒737-2213
広島県江田島市大柿町大原1637-1
しまのぱん souda!
営業日:金・土・日
営業時間:11時~17時
人間の運命は中々片付かないもんだな
『道草』より引用
<引用>
P376
健三は此小さい肉の塊が今の細君のやうに大きくなる未来を想像した。それは遠いさきにあった。けれども中途で命の綱が切れない限り何時か来るに相違なかった。
「人間の運命は中々片付かないもんだな」
P423
人通りの少ない町を歩いてゐる間、彼は自分の事ばかり考へた。
「御前は必竟何をしに世の中に生まれて来たのだ」
彼の頭の何處かで斯ういふ質問を彼に掛けるものがあった。彼はそれに答へたくなかっつた。成るべく返事を避けやうとした。すると其聲が猶彼を追窮し始めた。何遍でも同じ事を繰返して已めなかった。彼は最後に叫んだ。
「分からない」
其聲は忽ちせゝら笑った。
「分からないのぢやあるまい。分かつてゐても、其処へ行けないのだろう。途中で引懸つてゐるのだろう」
「己の所為ぢゃない。己の所為ぢゃない」
健三は逃げるやうにずんずん歩いた。
P444(結末)
「安心するかね」
「ええ安心よ。すっかり片付いちゃったんですもの」
「まだ中々片付きやしないよ」
「何うして」
「片付いたのは上部丈ぢやないか。だからお前は形式張つだ女だといふんだ」
細君の顔には不審と反抗の色が見えた。
「ぢや何うすれば本當に片付くんです」
「世の中に片付くなんでものは殆どありやしない。一編起こつた事は何時迄も續くのだ。ただ色々な形に變るから他(ひと)にも自分にも解らなくなる丈の事さ」
健三の口調は吐き出す様に苦々しかった。細君は黙って赤ん坊を抱上げた。
「おお好い子だ好い子だ。御父さまの仰やる事は何だかちつとも分かりやしないわね」
細君は斯う云ひ云ひ、幾度か赤い頬に接吻した。
2022年の年間読書テーマ。漱石小説作品を全部読む。本日は『道草』を読了しました。
集英社版『漱石文学全集 八』に『硝子戸の中』と併せて収録。
『道草(みちくさ)』は夏目漱石の長編小説。オリジナルは『朝日新聞』に1915(大正4)年6月3日から9月14日まで掲載。漱石は1916(大正5)年12月9日に胃潰瘍による体内出血で亡くなっていますの(享年四十九)で最晩年の作品となります。
<内容紹介>(新潮文庫のサイトより)
唯一の自伝的小説。
漱石が人生に悩んで悩んでこれ以上ないほど悩みぬき生まれた傑作。
海外留学から帰って大学の教師になった健三は、長い時間をかけて完成する目的で一大著作に取りかかっている。その彼の前に、十五、六年前に縁が切れたはずの養父島田が現われ、金をせびる。養父ばかりか、姉や兄、事業に失敗した妻お住の父までが、健三にまつわりつき、金銭問題で悩ませる。その上、夫婦はお互いを理解できずに暮している毎日。近代知識人の苦悩を描く漱石の自伝的小説。
主人公で語り手の健三は官費で英国に留学した大学講師(36歳)で妻の御住と3人の娘と門構えの家に下女と住んでいるという設定です。大学教授とはいえ執筆時の漱石が49歳で明治時代では老成した年齢になるので、語りの文章は人生に達観したような、諧謔の少ない暗い印象です。
高給ではないとはいえ立身出世した健三のもとに入れ替わり立ち替わり近親者が借金の無心に訪れ、その人物との関係を描く事で、だんだんと健三の複雑な生い立ちが書きこまれていきます。特に養父母との思い出を、自分の暮らした原風景の描写を詳細に述べた後で養父母を登場させる手法や、語りの文が健三自身の思考であったり、描写される人物の思考であったり幅が広く、自伝的小説ではありますが私小説のような平坦な構成にはなっていません。
お嬢さん育ちで奔放な妻・御住は、実際の配偶者、鏡子さんがモデルだそうです。封建時代の家父長制度下での夫婦関係とは違って、自分の意見をはっきりと述べる近代的な思考の持ち主で、健三は反発しながらも新しい夫婦関係を気づき上げていく様が受け取られ、重い調子の『道草』ですが、希望の持てる主軸になっています。
2022年3月に出版された漱石研究者二人石原千秋・小森陽一による『なぜ漱石は終わらないのか』(河出文庫)によると、『道草』は「愛に満ちている」(理解できないものの配偶者・御住に対して)「お金小説」(関係者が皆借金の無心に訪れる)「母の記述がまったくない」(『硝子戸の中』で描き切ったので)小説だそうで、重い主題でありながら粘着性がないのはそのせいかも知れません。
世界でもめずらしい新聞社(当時はベンチャー企業で不安定)の職業作家になったのは40歳で中年過ぎてからの転職でした。専属作家として次々に傑作を生み出しましたが、漱石自身にしか分からない文学的な到達点には未達であり、『道草』という題名で表しているのでは。
<引用>
P376
健三は此小さい肉の塊が今の細君のやうに大きくなる未来を想像した。それは遠いさきにあった。けれども中途で命の綱が切れない限り何時か来るに相違なかった。「人間の運命は中々片付かないもんだな」
P423
人通りの少ない町を歩いてゐる間、彼は自分の事ばかり考へた。
「御前は必竟何をしに世の中に生まれて来たのだ」
彼の頭の何處かで斯ういふ質問を彼に掛けるものがあった。彼はそれに答へたくなかっつた。成るべく返事を避けやうとした。すると其聲が猶彼を追窮し始めた。何遍でも同じ事を繰返して已めなかった。彼は最後に叫んだ。
「分からない」
其聲は忽ちせゝら笑った。
「分からないのぢやあるまい。分かつてゐても、其処へ行けないのだろう。途中で引懸つてゐるのだろう」
「己の所為ぢゃない。己の所為ぢゃない」
健三は逃げるやうにずんずん歩いた。
P444(結末)
「安心するかね」
「ええ安心よ。すっかり片付いちゃったんですもの」
「まだ中々片付きやしないよ」
「何うして」
「片付いたのは上部丈ぢやないか。だからお前は形式張つだ女だといふんだ」
細君の顔には不審と反抗の色が見えた。
「ぢや何うすれば本當に片付くんです」
「世の中に片付くなんでものは殆どありやしない。一編起こつた事は何時迄も續くのだ。ただ色々な形に變るから他(ひと)にも自分にも解らなくなる丈の事さ」
健三の口調は吐き出す様に苦々しかった。細君は黙って赤ん坊を抱上げた。
「おお好い子だ好い子だ。御父さまの仰やる事は何だかちつとも分かりやしないわね」
細君は斯う云ひ云ひ、幾度か赤い頬に接吻した。
『表現のための実践ロイヤル英文法 別冊 英作文のための暗記用例文 300』
Point 4. 助動詞が示す微妙な意味の違いを理解して活用する。
047. Even the best doctors can make a mistake.
※可能性のcan、能力のcanと区別する。
048. It cannot have been that important.
※「~だったはずがない」は<cannot have been ...>で表す。thatは「そんなに」という意味の副詞。
049. Every creature must get old.
050. This medicine might make you drowsy.
051. People will talk.
「人はうわさをするものだ」
※willは習性を表すためにもよく使う。
052. Do you think we ought to stop using this term?
053. I would appreciate it if you would answer my question.
「私の質問にお答えいただけるとありがたいのですが」
※「依頼」を表すときの丁寧な言い方。itを落とさない事。
054. I would rather you didn't do that sort of thing.
055. Shall I make some coffee?
056. You should have submitted your application today.
「願書は今日までに提出すべきだったのに」
※「~すべきだったのに(しなかった)」は<should have + PP>
057. Need I go into details?
「詳しく述べる必要がありますか」
※needは否定文のほかに疑問文でも助動詞として使える。
058. It coudn't snow tonight.
※「~するはずがない」はcouldn'tを使えばよい。
[出版の経緯]
山形浩生さんには先行して全訳版の『一般理論』(講談社学術文庫、2012年)があり、翻訳者の山形さんが参考までに読んだ既訳の『一般理論』の日本語訳があまりにひどく、ネット上に自分で全訳されてものの書籍化という変わった経緯があります。本書はその要約版。
山形さんは本業が翻訳家で経済学者ではありません。編集者・装幀者とも女性、訳者は門外界というリラックスした環境での出版も注目してもよいかと思います。
[構成]
前半がケインズの『一般理論』の要約、後半が山形による解説。解説は『一般理論』
の内容だけでなくケインズの生涯の簡単な評伝があり、理解を深めてくれます。
【編訳者の解説】
1『一般理論』のあらすじ
2『一般理論』はなぜ難解とされるのか
3 『一般理論』の短所/長所
4 本書(およびその他ケインズ)の「名言」
5 著者ケインズについて:生涯とゴシップ
6 ケインズと経済の現在・未来
[ケインズ理論のまとめ]
要約といってケインズ理論は難解で、コンビニで売っていた解説本より引用します。
『図解 教養として知っておきた経済理論』(彩国舎、2022年)より
[ケインズ経済学の背景]
アダム・スミスに代表される経済学の古典派を継承した新古典派と、マルクス経済学、ケインズ経済学で、三大流派だそうです。
こちらはネットから引用。週刊ダイヤモンドネット。
[ケインズの時代と現代]
ウクライナ・ロシアの戦争、コロナ、人新世(環境問題)、欧米の失業率、など、ケインズの時代と似ているところがあります。「小さな政府」からコロナなどのパンデミックに対応するためには「大きな政府」が求められているのかもしれません。
[著者が一番言いたかった部分]
The composition of this book has been for the author a long struggle of escape, and so must the reading of it be for most readers if the author’s assault upon them is to be successful,? a struggle of escape from habitual modes of thought and expression. The ideas which are here expressed so laboriously are extremely simple and should be obvious. The difficulty lies, not in the new ideas, but in escaping from the old ones, which ramify, for those brought up as most of us have been, into every corner of our minds.
J. M. Keynes
December 13, 1935
The General Theory of Employment, Interest and Money
Preface
山形浩生さんによる日本語訳
本書の構築は著者にとって、脱出のための長い闘いでした。そして読者に対する著者の攻撃が成功するなら、読者にとっても本書は脱出に向けた長い闘いとならざるを得ません――それは因習的な思考と表現の形からの脱出なのです。ここでくどくど表現されている発想は、実に単純で自明だと思います。むずかしいのは、その新しい発想自体ではなく、古い発想から逃れることです。その古い発想は、私たちのような教育を受けてきた者にとっては、心の隅々にまではびこっているのですから。
JMケインズ
https://genpaku.org/keynes/generaltheory/html/generaltheorypreface.html
[日本人の『一般理論』好き]
おそらく翻訳本がこんなに出ている国は日本だけだろうと思います。
1941年(昭和16年)、塩野谷九十九(経済学者)
1983年に息子の塩野谷祐一(経済学者)が新たな訳を発刊(ともに東洋経済新報社)…旧大塚家具・大塚久美子社長はゼミ出身
2008年には間宮陽介訳(経済学者)(岩波文庫)
山形氏は『一般理論』の要約(11年、ポット出版)や全訳(12年、講談社学術文庫)
2021年翻訳家の大野一氏は『雇用、金利、通貨の一般理論』の題名で読みやすさにこだわった新訳を出した(21年4月、日経BP)
(編集委員 川崎健)
[日本経済新聞2021年7月31日付]
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO74332920Q1A730C2MY5000/
[経済学は日本人苦手]
経済用語が翻訳できないのでは?
議会制民主主義・資本主義社会に遅れて参入
ノーベル経済学賞受賞のアジア人はいない
[ケインズ理論が現代に通用するか]
実体経済とかけ離れた金融経済・情報経済が主体
国民国家を超えて企業がグローバル化
先進国のGDPが巨大で公共事業は限定的
日本は意外と失業率は低い
東京オリンピック、新幹線、国家予算の10%
戦艦大和4番艦、4%×4隻
[ケインズと訳者の共通点]
ゲイ?
高学歴理系出身
経済学者ではなく本業が違う
大学街出身
お坊ちゃん(旦那芸)
[自分のまとめ]
課題図書としてはハードル高い
自分の問題として認識できなかった
経済学を再度勉強しようとする意識付けにはなった
自分の自慢はアダム・スミスの『国富論』(岩波文庫版)を学生時代に読了したこと
The difficulty lies, not in the new ideas, but in escaping from the old ones, which ramify, for those brought up as most of us have been, into every corner of our minds.
The composition of this book has been for the author a long struggle of escape, and so must the reading of it be for most readers if the author’s assault upon them is to be successful,? a struggle of escape from habitual modes of thought and expression. The ideas which are here expressed so laboriously are extremely simple and should be obvious. The difficulty lies, not in the new ideas, but in escaping from the old ones, which ramify, for those brought up as most of us have been, into every corner of our minds.
J. M. Keynes
December 13, 1935
John Maynard Keynes
The General Theory of Employment, Interest and Money
Preface
山形浩生さんによる日本語訳
本書の構築は著者にとって、脱出のための長い闘いでした。そして読者に対する著者の攻撃が成功するなら、読者にとっても本書は脱出に向けた長い闘いとならざるを得ません――それは因習的な思考と表現の形からの脱出なのです。ここでくどくど表現されている発想は、実に単純で自明だと思います。むずかしいのは、その新しい発想自体ではなく、古い発想から逃れることです。その古い発想は、私たちのような教育を受けてきた者にとっては、心の隅々にまではびこっているのですから。
JMケインズ
https://genpaku.org/keynes/generaltheory/html/generaltheorypreface.html
縁あって読書会に参加。8月の課題図書は山形浩生さんによるダイジェスト本『超訳ケインズ『一般理論』』(東洋経済新報社、2021年)。山形さんの一番言いたかった部分は装丁に型押しされているこの文言でしょうか?
P86
経済という言葉は、
中国の古典にある「経世済民(けいせいさいみん)」
という言葉から来ています。
「経世済民」とは、
世を経(おさ)め民を済(すく)う
という意味です。
つまりは、民の生活を平穏にするというのが、
経済のもとの語源なのです。
当方が参加している「広島掃除に学ぶ会」の中心メンバーで
5年前に逝去された小林常光さんの人徳を偲び、
有志による追悼文集が作られ、昨日届きました。
親疎の度合いはそれぞれ違いますが
寄稿文を寄せられたすべての人が
亡き小林さんの徳に感化された人でした。
改めて小林さんに感謝します。
合掌。
[解説]
I wish 主語 過去形/過去完了形 「~なら/だったらよかったのになあ」
If only 主語 過去形/過去完了形 「~でさえすればなあ/さえしていたらなあ」
…as if 主語 過去形/過去完了形 「まるで~かのように/だったかのように…」
It is time 主語 過去形 「もう~してもよい頃だろう」
If it were not for ~, (仮定法過去) 「もし~がなかったら」
If it had not been for, (仮定法過去完了)
≒Without~,/But for ~,
[例文]
1 I wish you were here.
2 I wish my dog could talk.
3 I wish I had a driver's license.
cf. If only I had a driver's license,
強い願望「持ってさえいれば…」
4 I wish I had studied harder.
5 I wish I had listened to his advice.
6 If only I had left home ten minutes earlier.
7 He speaks English as if he were an American.
8 He talks as if he knew everything.
9 They were talking as if they had been friends for years.
10 The looked as if they had seen a ghost.
11 It is about time you married.
「あなたもそろそろ結婚してもいい頃でしょう」
12 If it were not for music, my life would be boring.
「もしも音楽がなかったら、私の人生は退屈だろう」
13 If it had not been for her help, I would have drowned.