スローリーディング中でした硬派の新書『未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?』(斎藤幸平編、2019年)読了しました。
長らく人間社会の普遍的真理と思われた、資本主義、民主主義、国民国家、が揺らぎつつある現代社会において、3人の叡智に、気鋭の哲学者・斎藤幸平さんがインタビューした「未来への提言」の書です。正直ほとんど理解できていないと思います。
読書の経緯は、敬愛する思想家・内田樹先生が注目すべき若手として推薦されていたからです。
本日は第二部を読了。ポップスターなみの人気を誇る、ボン大学の哲学者、マルクス・ガブリエル氏との対談です。
以下は、当方の読書ノートで、他の人が読んでもわかりません。恐縮です。
【著者略歴】
■マルクス・ガブリエル
史上最年少でボン大学哲学正教授に抜擢された天才哲学者。ベストセラー『なぜ世界は存在しないのか』、
NHK『欲望の資本主義』シリーズなどでメディアの寵児に。
■斎藤幸平(さいとうこうへい)
1987年生まれの若き経済思想家。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。
Karl Marx's Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy
で権威あるドイッチャー記念賞を史上最年少で受賞。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。
第二部 マルクス・ガブリエル(哲学者・ボン大学教授)
第一章 「ポスト真実」の時代を生んだ真犯人
①「新実存主義」を掲げ哲学をどう刷新するのか
②哲学がより良い社会をつくることにどう貢献できるのか
哲学は自然科学に比べて「役に立たない学問」では?
哲学は概念についての反省的な思考。現代社会の問題を考える「概念」が誤っているのが問題。その「概念」を正しくするために哲学は役に立つ
オックスフォード英語辞書は12016年世界の今年の言葉は「post-truth(ポスト真実)」だと発表した。「非常に緊迫した」政治的な1年を反映する言葉として選んだという。
オックスフォード辞書によるとこの単語は、客観的事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況を示す形容詞。今年6月のブレグジット(英国の欧州連合離脱)と11月の米大統領選を反映した選択だという。
現代は「客観的な事実」の危機
情報テクノロジーの発達で、大量の「真実」があふれているが、多くは誤り
「自明の事実」に正しく向き合わないと、民主主義は弱体化してしまう
この状況で開き直るのが「相対主義」:事実があるところで事実に向き合わない
現代世界の問題
経済格差、気候変動、難民問題
専門家だけでは解決できない、国家を超えて対話・協力のための共通の土台が必要
「自明なものの政治」=エビデンス(証拠)に価値を置く政治が必要
インターネットにも(道路のように)規制が必要
ウキペディア、ソーシャルメディア
相対主義者は「他者性」を作り上げることによって自分が見たいものだけを見ています
相対主義を説明する映画:『Mバタフライ』
第二章 「人間の終焉」と相対主義
ポストモダンの相対主義者は常に「人間の終焉」という幻想に基づいている
危険
倫理的な価値・政治的な価値の唯一の源泉は人間という生の形式
複雑な現代社会システムのなかでは、自分が他者に与えている影響は、相当に意識しないと見えなくなっている
ヨーロッパの1968年の解放運動は、たくさんの問題を抱えたままだった。
求めたものは正しかったが、間違った理論的土台や、概念的枠組みを選んだ
第三章 新実存主義で民主主義を取り戻す
ガブリエルの「新実存主義」の議論
前提として「社会的構造主義」の知識があると理解しやすい
社会構造主義=すべてのものは社会的に構成されたものであるという主張
「哲学者たちは世界をさまざまに解釈してきただけである。肝心なのはそれを変えることである」=マルクスのテーゼ
新実存主義(ポストモダニズム克服のための)
①人は事物を事物そのものがあるままに知ることができる
②人が知ることができる多くの実存的なものがすべて単一の領域(世界)に属しているわ
けではないというテーゼ
自然科学に特権を与えない
(一部の専門家による意思決定を正当化しない)
第四章 未来への大分岐―環境危機とサイバー独裁
第五章 危機の時代の哲学
カント的な、論理的な一貫性と普遍性、が重要
倫理問題を制度で解決するのは「みんな」
「みんな」は倫理的な判断をするための明確な基盤を持っている
新実存主義は啓蒙
倫理の普遍性を擁護する
真理、平等、自由、連帯、という普遍的な理念を、ポストモダンの危機を乗り越えて実現をめざす
民主主義の本質、国民国家と相容れない(難民を助ける)
民主主義を国を超えて世界に普遍化する必要がある
民主主義の抱える問題点の解決策は誰も持っていない
解決のために何が必要かを考える、最初のステップ