2026年10月19日月曜日

[積読立読斜読] 『英語で日本語を考える』(片岡義男著、ちくま文庫、2024年)

 



p151

「彼ほど複雑で正体のつかめない人は私は初めてで、彼を単純化してとらえるのは、彼の心の動きぜんたいに対して逆行することなのです」

He is the most complicated 

and mysterious character I've ever known

and any attempt to simplify him would run 

contrary to the whole action of his mind. 



「早く出発したほうがいいですよ」

It is best to start early.


(片岡)

日本語の言いかたを観察していると、「ほう」と「いい」の二点に、

僕の関心は集まっていく。


「脚が長く見えるわよ」

It gives length to your legs.


「さあ」

Here we go.


「どれが本職ですか」

Which of these do you consider your true job?


「彼女はなにごとも手を抜くことのできない人だから」

She is incapable of giving any project less than her best effort.


(片岡)

最高以下の努力、それが手抜きだ。したがって、「彼女はなにごとも手を抜くことのできない人だから」という日本語は、「彼女はなにごとにも最高以下の努力を注ぐことのできない人だから」という、日本語としては妙な言いかたに、言い換えることができる。そしてその妙な言いかたが、英語の言いかたなのだ。