689 独居(ひとりい)や思ふ事なき三ケ日
694 別るるや夢一筋の天の川
[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治四十二年から四十三年 685—694
明治四十二年
685 黍(きび)行けば黍の向ふに入る日かな
686 鞭鳴らす頭の上や星月夜
687 なつかしき土の臭や松の秋
688 高麗人(こまびと)の冠(かむり)を吹くや秋の風
明治四十三年
689 独居(ひとりい)や思ふ事なき三ケ日
690 御堂まで一里あまりの霞かな
691 花びらに風薫りては散らんとす
692 ふと揺れる蚊帳の釣手や今朝の秋
693 温泉(ゆ)の村に弘法様の花火かな
694 別るるや夢一筋の天の川
685から688まで、9月から10月にかけての満韓旅行での作。
686 「馬車にて支那人の鞭の音をきく」と前書。
687 「水青くして平なり。赤土と靑松の小きを見る」と前書。
690 画賛の句。
691 虞美人草画賛の句。
692から766までは修善寺温泉での作。胃潰瘍が悪化して吐血後。
