2024年7月13日土曜日

[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十年 325—334




  [積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十年 325—334


325 明月に今年も旅で逢ひ申す


326 明月や拙者も無事でこの通り


327 蛼よあきぢや鳴こうが鳴くまいが


328 月に行く漱石妻を忘れたり


329 某(それがし)は案山子にて候雀どの


330 野分して蟷螂を窓に吹き入るる


331 菊の頃なれば帰りの急がれて


332 一東の韻に時雨るる愚庵かな


333 水仙の花鼻かぜの枕元


334 楽に更けて短き夜也公使館


331~333 句稿(その二十七)にある句




蛼 (コオロギ)


一東の韻―上平声十五韻の第一番目の韻字。愚庵―万葉調歌人の禅僧、天田愚庵。この句は愚庵が漢詩を作っている様子。