321 蟷螂の何を以つてか立腹す
[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治三十年 315—324
315 来て見れば長谷は秋風ばかりなり
316 仏性は白き桔梗にこそあらめ
317 其許(そこもと)は案山子に似たる和尚かな
318 南九州に入つて柿既に熟す
319 樽柿の渋き昔を忘るるな
320 渋柿やあかの他人であるからは
321 蟷螂の何を以つてか立腹す
322 蛼(こおろぎ)のふと鳴き出しぬ鳴きやみぬ
323 秋風や棚に上げたる古かばん
324 名月や無筆なれども酒は呑む
