2015年8月8日土曜日

<日々是不穏 like a rolling stone> ネットワークで三度負ける?!



日本経済新聞WEB版の記事。アメリカでドローンのネットワーク実現化に向けて政府・関連企業が動き出したという記事です。個々の技術は確立されているので、あとはネットワーク化の規範作りが必要ということでしょう。

自動車のハイウエイ、インターネット、そして今回のドローン・ネットワーク。大きな構想を打ち立ててやりきってしまうところは、さすがアメリカ。

日本は今回もネットワーク作りで負けてしまうのでしょうか?


下記、記事の引用です。
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全米に「ドローンハイウエー」 NASAの本気度 
ITジャーナリスト 小池 良次(Ryoji Koike, 2015/8/3)

「航空産業を一変させる次世代ビジネス」と期待されている小型無人機(ドローン)。新ビジネスに積極的な米国では、米航空宇宙局(NASA)や米アマゾン、米グーグルなどが官民共同で商業ドローンの産業基盤整備を進めており、2020年には現在の航空機並みの運航ルールや管制システムを本格整備する予定だ。日本もドローンのビジネス利用に消極的な姿勢のままではIT(情報技術)と同様に米国の後じんを拝することになりかねない。

 先週、シリコンバレーのNASAエイムス研究所で無人航空機システム(UAS)の航空管制に関する会議が開催された。この会議では、ドローンビジネスを狙うアマゾンが「ドローンハイウエー」、グーグルが個体認識や衝突回避の技術といった独自提案を発表し、NASAは15年8月末に予定している全米初のドローン向け無人航空機トラフィック管理(UTM)に関する実験について概要を紹介した。

 米国では2月に米連邦航空局(FAA)が25キログラム以下の商業ドローンを対象にした規制ドラフトを発表した。この発表を受け、それまで数十件にすぎなかった商業ドローンの実験飛行や限定的な商業利用が急増している。それ以降の半年足らずで900件を越えており、年内に1000件を上回ることは間違いない。

 映画の撮影や農薬の散布、鉄道レールや送電線の診断検査、不動産物件の撮影、災害の調査、湾岸警備隊による不審船舶の捜査や海洋環境の調査など、既に様々な分野で商業ドローン市場が生まれようとしている。グーグルや米ボーイングなど大手企業が競って商業ドローン向け特許の取得を急いでおり、知財分野でも米国企業が世界市場でリードしそうだ。

 しかし、米国政府も民間も「現状のままでは本格的な産業に脱皮することは難しい」という認識で一致している。自動車産業の黎明(れいめい)期と同じで「車があっても、走る道路がない」からだ。

 米国は伝統的に産業基盤の育成に熱心だ。自動車産業では、1921年に成立した連邦高速道路法を契機に、政府の助成金で高速道路整備が進み、後に全米で物流革命や自動車産業による経済発展を生み出した。米国政府は商業ドローンでもFAAを中心に基盤整備と産業育成に本腰を入れている。

 商業ドローンの産業化にあたっては安全性の確保がもっとも重要で、そのためには信頼性の高いドローンの開発だけでなく、飛行ルートや運行監視を行う専用の航空管制システムが欠かせない。

 今回の会議は、現在NASAが開発しているドローン向け無人航空機トラフィック管理(UTM)をテーマにしたもので、グーグルやアマゾンが航空管制に関する新アイデアを披露したのも、こうした背景があるからだ。

■飛行高度で用途別に分ける

 初日の基調講演に登場した米アマゾンのグール・キムチ氏は、ドローン向け高速道路(空路)整備を提唱した。同社は物流センターから直接ドローン配送を狙う「アマゾン・プライム・エアー」計画を発表し、デリバリードローンの開発に力を入れている。

 現在の商業ドローンは500フィート(約152メートル)以下に飛行が制限されている。キムチ氏は、この中の200フィート(約61メートル)~400フィート(約122メートル)の部分を高速移動専用に割り当てる案を示した。また、高速エリアに飛行用回廊を設置し、建物などの障害物を避ける効率的な運行も提唱した。もし、高速エリアの設置が認められれば、同社の配送用ドローンをより広域で運用できるようになる。なお、400~500フィートの空間については、商業ヘリや航空機との干渉帯として飛行禁止にすべきだと主張している。

 一方、2日目の基調講演には配送用ドローンでアマゾンと開発競争を繰り広げているグーグルのデーブ・ボス博士が登壇し、衝突防止技術や機体認証技術などについて独自の提案を行った。

 航空業界では、位置や高度、方向や速度などの情報を周りの飛行機に知らせる「ADS-B」と呼ばれる技術が普及段階に入っている。ADS-Bは、衝突の危険があると警告音が鳴り、パイロットは決められた回避行動をすることになっている。

 グーグルは、ドローン向け小型低価格ADS-Bの開発を進めており、将来は商業ドローンへの標準搭載を提唱している。また、自動車のナンバープレートに当たるドローン機体認証の導入も主張している。これはインターネットにおけるウェブ認証と同じ仕組みを商業ドローンに応用するもの。

 これらはいずれも、15年8月にNASAが開始するUTM実証実験を意識した具体的な要望といえる。

■2020年にはドローン向けインフラ

 米国の空には1日に5000機以上の民間飛行機が飛び交っている。これらの航空機は全米航空管制システムに飛行経路などを申請し、離着陸などの運行許可を受けている。

 NASAが開発しているUTMは、これと同じサービスをドローン向けに提供する。ただ、商業飛行機では運用が数少ない航空会社に限られているのに対し、商業ドローンは物流業者や医療機関、公安機関、農家など、多種多様な団体や個人が利用する。これは航空ビジネスの大衆化を意味し、現在の航空機産業を自動車産業並みに拡大させると期待されている。

 UTMの開発は、民間125社が参加するNASAでも異例の大規模プロジェクト。15年8月に予定する第1回プロトタイプ実証実験では、12種類のドローンを様々な実験環境で試験する。ADS-Bを使った衝突防止や低空飛行における騒音問題、操作信号が届かなくなる「ロスト・コンタクト」、衝突時の被害状況など多角的な実験項目が予定されている。また、ドローンのオペレーターが一般商業飛行機の航空管制センターと交信する有人・無人統合管制の実験も行われる。

 実証実験はビルド1からビルド4まで4段階に分かれており、8月のビルド1では有視界範囲でオペレーターがドローンを操作する。来年10月からのビルド2では、いよいよオペレーターの視界を超える自動飛行にも挑戦する。こうして2020年前後には、大規模な商業ドローン管制システムの完成を目指す。

 これまでの航空機産業は重厚長大で、開発にも運用にも巨大な投資が必要だった。しかし、商業ドローンは一般航空機に比べて小さく、開発や運用コストは桁違いに下がる。そのためアマゾンやグーグルなど様々な企業が新規参入してくると予想されている。特に、シリコンバレーは商業ドローンを次世代ロボット産業の重要な分野として注目しており、高度なIT技術を駆使して商業化に取り組んでいる。FAAやNASAなど連邦政府も伝統的な航空機産業に新風を入れるIT業界大手との連携を歓迎している。

 対して日本では、商業ドローン開発を進める企業は数えるばかり。政府もドローンを使った産業育成を具体化する状況にはない。残念ながらコンピュータ分野で米国に負け続けた状況は、商業ドローンでも繰り返されようとしている。日本でも政府や民間が、商業ドローンビジネスの育成にすぐに着手しなければ、ますます日米差は広がることになるだろう。

小池良次(Ryoji Koike)
 米国のインターネット、通信業界を専門とするジャーナリストおよびリサーチャー。1988年に渡米、93年からフリーランスジャーナリストとして活動している。サンフランシスコ郊外在住。主な著書に「クラウド」(インプレスR&D)、「クラウドの未来」(講談社新書)、「NTTはどこへ行くのか」(講談社)など。
 
 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO89984940R30C15A7000000/