2020年6月12日金曜日

[積読立読斜読]『未来への大分岐』(斎藤幸平・編、集英社新書、2019年)第3章 ポール・メイソン



たまには固い新書を。編者の斎藤幸平さんは、敬愛する知の巨人、思想家の内田樹先生が2019年の10大ニュースで「8.すごい若い人たちを知る」として紹介した一人。

「こういう若い人たちの活躍を知ると、「もう引退してもいいかな」という気になる。ありがたいことである。」との感想です。

内田樹先生の推薦とあらば、無条件で読みます。

本日は第3章のポール・メイソン編。「グリーンニューディールがポストキャピタリズムの契機となる」という主張は周回遅れの『ホールアース・カタログ』ではないでしょうか。

ポストキャピタリズムになると、貨幣の価値はなくなりそうですね。


<書籍データ>
『未来への大分岐』(斎藤幸平・編、集英社新書、2019年)

<内容紹介>
【世界最高峰の知性たちが描く、危機の時代の羅針盤】
利潤率低下=資本主義の終焉という危機は、資本の抵抗によって人々の貧困化と民主主義の機能不全を
引き起こしたが、そこに制御困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。
我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代――。
「サイバー独裁」や「デジタル封建制」はやって来るのか?
世界最高峰の知性たちが日本の若き経済思想家とともに、新たな展望を描き出す!

<著者プロフィール>
■マルクス・ガブリエル
史上最年少でボン大学哲学正教授に抜擢された天才哲学者。ベストセラー『なぜ世界は存在しないのか』、
NHK『欲望の資本主義』シリーズなどでメディアの寵児に。
■マイケル・ハート
グローバル資本主義が変容させる政治・経済の姿を描き切った『<帝国>』(ネグリとの共著)。
その大著の予見の正しさが日々、証明されるなか、世界の社会運動の理論的支柱となっている。
■ポール・メイソン
ナオミ・クラインらが絶賛した『ポストキャピタリズム』で、情報テクノロジーによって
資本主義は崩壊すると主張し、次なる経済社会への移行を大胆に予言。鬼才の経済ジャーナリスト。
■斎藤幸平(さいとうこうへい)
1987年生まれの若き経済思想家。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。
Karl Marx's Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy
で権威あるドイッチャー記念賞を史上最年少で受賞。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。

以上、集英社新書のサイトより


<自分用読書ノート>…他の人が読んでもわかりません。スミマセン。

第3部 ポール・メイソン(経済ジャーナリスト)

第1章 情報テクノロジーの時代に資本主義が死んでいく


資本主義は情報テクノロジーによって崩壊すると主張し、次なる経済社会への移行を大胆に予言

現代社会の危機を乗り越える方法:脱資本主義、ポストキャピタリズムの社会をつくる

ソ連崩壊後に左派のなかで広がったのは「資本主義のオルタナディブは存在しない」という悲観論

リーマン・ショックは時代の終わりを告げる危機
(国家と中央銀行の大規模な市場介入があっても世界経済は立ち直っていない)






時代の終わり:18世紀末の産業革命を起点とした産業資本主義の時代の行き詰まり

産業資本主義:機械化、大量生産、大量消費、を目指した体制

コンドラチェフの波の異変:第5波を支えるはずであった情報技術の特性、資本主義とうまく共存できない

産業資本主義は「成熟」に達している

コンドラチェフの波(景気循環)の終わりは利潤率の低下による恐慌だった


利潤率の低下は大量生産・大量消費による量ではまかなえなくなってきた


ポストキャピタリズムの社会とは、「潤沢な社会」と言える

これまでの経済学は「財の希少性」という前提での議論

「潤沢な社会」ではモノ・サービスの追加生産の費用(=限界費用
が限りなくゼロに近い(デジタル・コピーなど)

多くのモノ・サービスが無料になっていく傾向にある

P245
情報技術への経済社会への最終的な影響
(ポストキャピタリズムへの道)

①限界費用ゼロ

②高度なオートメーション化と労働の定義の変化
(労働時間の大幅な短縮、余暇が増える)

社会的な知に媒介されてた協働的な仕事が主流になる
国家や市場から人々の活動を切り離して、「誰にも所有されない生産物」を創り出すことが生産の主流になれば、資本主義は終わり

③正のネットワーク効果
インターネット上での人々のつながりが、新しい実用性・効用を創出する

④情報の民主化
ネットワーク効果は私的な排他的所有となじまない

まとめ
情報技術の発展によって利潤の源泉が枯渇
仕事と賃金は切り離される
生産物と所有物の結びつきもなくなる
生産過程もより民主的なものになる


ポストキャピタリズム:潤沢な社会
人々が強制的・義務的な仕事から解放され、無償の機械を利用して必要なものを生産する社会
100%再生可能エネルギーと、天然資源の高いリサイクル率を実現


著者の分析
①10年以上にも及ぶ不良債権危機
②新しい情報技術への賛美

①と②を結び付けたところ


情報経済に移行すると、(限界費用がゼロになることで)価値がうまれなくなる
情報経済は価値を生み出さず、むしろ価値を時代遅れで、無意味なものにしてしまう


第2章 資本の抵抗―GAFAの独占はなぜ起きた?

ポストキャピタリズムへの移行に抵抗する4つの資本の動き

①市場の独占―限界費用ゼロ効果に対する抵抗
②ブルシット・ジョブ―オートメーション化に対する抵抗
③プラットフォーム資本主義―正のネットワーク効果への抵抗
④情報の非対称性をつくり出す―情報の民主化への抵抗

独占とは非民主主義的

1%の特権階級が富だけでなく情報も独占し、レントを徴収する「デジタル封建主義」が生まれつつある

ウーバーなどの新しい企業は、熟練を要する仕事をまったく生み出さない


第3章 ポストキャピタリズムと労働

モノが希少な時代(父親・祖父の時代)
働くということが、高い社会的結束力と幸福を生み出していた

無駄な生産活動をやめることが、環境負荷を減らし、地球を救うための最善の方法でもある

高賃金で労働する機会を求めることが最大の目標だという考えにとらわれすぎている

人間が強制労働そのものから解放される「可能性の世紀」に私たちはいる


第4章 シンギュラリティが脅かす人間の条件

マルクスの観察、鉄道・電信、原始的なネットワーク

マルクスの予測
社会に存在する、ありとあらゆる革新的な力が、人々のもつ社会的な知識に依存するようになるなら、その時、私的所有という在り方は崩れ去る

機能不全を起こしている情報資本主義に対抗するために
人権のレベルで戦う…データの対称性を求める、普遍的人権

民主主義…ビッグデータ・リポジトリ(貯蔵庫)を自分たちの手で管理することが不可欠

中国の公式イデオロギーは、マルクス主義的ヒューマニズムの否定
社会主義とテクノロジーが結び付けば、サイバー共産主義になる

合理的思考、個人主義、知識の民主化、は500年かけて実現した


第5章 資本主義では環境危機を乗り越えられない

環境危機がポストキャピタリズムへの契機となる

「エコロジカル社会主義」=ポストキャピタリズムの構想

アメリカの左派が提唱するグリーンニューディール
(経済主義と結びつく危険性がある)



第6章 生き延びるためのポストキャピタリズム

経済における、非市場的な部分、協働的で非営利的な部分を、国家が拡張して守らなければならない


①独占とレント・シーキングを禁止し、積極的投資を行うことで、情報技術産業の活性化、オートメーション化や再生可能エネルギー100%への道を切り拓くことができる。したがって、ポストキャピタリズムは脱成長ではない。

②AIの暴走を防ぐために、普遍的倫理を「人間とは何か」を定義すうヒューマニズムに基礎づけなければならない。

③市場や国家の完全な廃棄を目指す古い社会主義とは違って、ポストキャピタリズムは、市場や国家の存続する余地のあるハイブリッドモデルである







[積読立読斜読] 『ペンギンクラッシクスのデザイン』より ブラック・スパイン(2)






















[積読立読斜読] 『ペンギンクラッシクスのデザイン』より ブラック・スパイン(1)



Black Spines は黒い背表紙のことで、クライム・ノベルばかりかと思いきやマーク・トウェインも入っていて意外でした。




















[ひとり「広島掃除に学ぶ会」] 通勤途上ゴミ拾い 6月8日(月)~6月12日(金)

通勤途上のゴミ拾い継続中。

コロナ禍一段落で通勤する人が増えたのかゴミの量が減らないです。







[積読立読斜読] 書き写し『徒然草』第73段 世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、

書き写し『徒然草』、本日は第73段。

使っているのは廣済堂出版『書いて味わう 徒然草』という本です。

中古で買いました。

書き写しをしていると、心が安らぎます(という気がする)。





徒然草(上)
第73段 世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、


<本文>
 世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、多くは皆虚言なり*。

 あるにも過ぎて人は物を言ひなすに*、まして、年月過ぎ、境も隔りぬれば、言たきまゝに語りなして、筆にも書き止めぬれば、やがて定まりぬ*。道々の物の上手のいみじき事など*、かたくななる人の、その道知らぬは*、そゞろに、神の如くに言へども*、道知れる人は、さらに、信も起さず*。音に聞くと見る時とは、何事も変るものなり*。

 かつあらはるゝをも顧みず*、口に任せて言ひ散らすは、やがて、浮きたることと聞ゆ*。また、我もまことしからずは思ひながら*、人の言ひしまゝに、鼻のほどおごめきて言ふは*、その人の虚言にはあらず。げにげにしく所々うちおぼめき*、よく知らぬよしして、さりながら、つまづま合はせて語る虚言は、恐しき事なり。我がため面目あるやうに言はれぬる虚言は、人いたくあらがはず*。皆人の興ずる虚言は、ひとり、「さもなかりしものを」と言はんも詮なくて聞きゐたる程に*、証人にさへなされて、いとゞ定まりぬべし*。

 とにもかくにも、虚言多き世なり。たゞ、常にある、珍らしからぬ事のまゝに心得たらん、万違ふべからず*。下ざまの人の物語は、耳驚く事のみあり。よき人は怪しき事を語らず。

 かくは言へど、仏神の奇特、権者の伝記、さのみ信ぜざるべきにもあらず*。これは、世俗の虚言をねんごろに信じたるもをこがましく、「よもあらじ」など言ふも詮なければ、大方は、まことしくあひしらひて、偏に信ぜず、また、疑ひ嘲るべからずとなり。


<用語解説>
世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、多くは皆虚言なり:世の中に伝わる情報というものは、「真実」では面白くなくて、うそを交えたものばかりが横行している。

あるにも過ぎて人は物を言ひなすに:有る以上に おおげさに、無いことまでも人は喋るものなのに、。

年月過ぎ、境も隔りぬれば、言たきまゝに語りなして、筆にも書き止めぬれば、やがて定まりぬ:時間や距離の隔たった「事実」を言いたいように作り話して、しかもそれを筆に書き留めてしまえば、それが定説となってしまうだろう。

道々の物の上手のいみじき事など:その道その道の大家の優れたところなど、。

かたくななる人の、その道知らぬは:無知で無教養な人たちで、それぞれの道の大家のことを知らない者は、。

そゞろに、神の如くに言へども:むやみやたらと大家のことを神 様のように言ったりするのだが、。

道知れる人は、さらに、信も起さず:その道の専門家たちは、何とも思わない 。

音に聞くと見る時とは、何事も変るものなり:見ると聞くとは大違いだ。

かつあらはるゝをも顧みず:(語るそばから)すぐに露見するのも省みず。

やがて、浮きたることと聞ゆ:間もなく根拠の無いことと知られてしまう 。

我もまことしからずは思ひながら:自分でも、まことの事とは思っていないにもかかわらず。

鼻のほどおごめきて言ふは:鼻っ先をピクピクさせながら嘘を語る。

げにげにしく所々うちおぼめき:げにげに もっともらしいように見せるべく、話のところどころを不審がったりして。

我がため面目あるやうに言はれぬる虚言は、人いたくあらがはず:自分の名誉にかかわるような虚言でなければ、人は大して抵抗もしないものだ。

「さもなかりしものを」と言はんも詮なくて聞きゐたる程に:「そんなことはない」というのもどうでもいいという態度で聞いていると。

証人にさへなされて、いとゞ定まりぬべし:否定しなかったばかりに、証人にさえさせられてしまう。

たゞ、常にある、珍らしからぬ事のまゝに心得たらん、万違ふべからず:だから、何か聞かされたら、いつも語られる珍しくもない事だと思っていたならば、万事に間違いはないだろう。

仏神の奇特、権者の伝記、さのみ信ぜざるべきにもあらず:(とは言え、)神仏の効験や、佛の化身と言われる人たちの伝記などについては、こればかりは信じなくてよいということではない。これらについては、世間の虚言を本気で信じたことが馬鹿馬鹿しかったからという理由で、それと同じだろうといって、「そんなことはない」などと言うのではなく、大方は信じておいて、さりとて一途に信じるのではなく、疑ったりあざけったりしないというのがよい、というのである。


<ポイント>
 この段、このまま現代のマスコミと「劇場型政治」の民衆との間の関係に瓜二つに酷似しているのが、何とも不気味である。つまり、この国の歴史は、この室町時代初期と今と少しも変わっていないということであろうか???。


http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/tsuredure/turedure050_099/turedure073.htm

[積読立読斜読] 『凡事徹底「一日一話」』(鍵山秀三郎著、PHP、2019年)6月13日~6月16日



P108
幸運も不運も人が勝手に思い込んでいるものなのです。

P109
過去に感謝できる人は、未来に対して考えることができるようになります。