「こういう若い人たちの活躍を知ると、「もう引退してもいいかな」という気になる。ありがたいことである。」との感想です。
内田樹先生の推薦とあらば、無条件で読みます。
本日は第3章のポール・メイソン編。「グリーンニューディールがポストキャピタリズムの契機となる」という主張は周回遅れの『ホールアース・カタログ』ではないでしょうか。
ポストキャピタリズムになると、貨幣の価値はなくなりそうですね。
<書籍データ>
『未来への大分岐』(斎藤幸平・編、集英社新書、2019年)
<内容紹介>
【世界最高峰の知性たちが描く、危機の時代の羅針盤】
利潤率低下=資本主義の終焉という危機は、資本の抵抗によって人々の貧困化と民主主義の機能不全を
引き起こしたが、そこに制御困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。
我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代――。
「サイバー独裁」や「デジタル封建制」はやって来るのか?
世界最高峰の知性たちが日本の若き経済思想家とともに、新たな展望を描き出す!
<著者プロフィール>
■マルクス・ガブリエル
史上最年少でボン大学哲学正教授に抜擢された天才哲学者。ベストセラー『なぜ世界は存在しないのか』、
NHK『欲望の資本主義』シリーズなどでメディアの寵児に。
■マイケル・ハート
グローバル資本主義が変容させる政治・経済の姿を描き切った『<帝国>』(ネグリとの共著)。
その大著の予見の正しさが日々、証明されるなか、世界の社会運動の理論的支柱となっている。
■ポール・メイソン
ナオミ・クラインらが絶賛した『ポストキャピタリズム』で、情報テクノロジーによって
資本主義は崩壊すると主張し、次なる経済社会への移行を大胆に予言。鬼才の経済ジャーナリスト。
■斎藤幸平(さいとうこうへい)
1987年生まれの若き経済思想家。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。
Karl Marx's Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy
で権威あるドイッチャー記念賞を史上最年少で受賞。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。
以上、集英社新書のサイトより
<自分用読書ノート>…他の人が読んでもわかりません。スミマセン。
第3部 ポール・メイソン(経済ジャーナリスト)
第1章 情報テクノロジーの時代に資本主義が死んでいく
資本主義は情報テクノロジーによって崩壊すると主張し、次なる経済社会への移行を大胆に予言
現代社会の危機を乗り越える方法:脱資本主義、ポストキャピタリズムの社会をつくる
ソ連崩壊後に左派のなかで広がったのは「資本主義のオルタナディブは存在しない」という悲観論
リーマン・ショックは時代の終わりを告げる危機
(国家と中央銀行の大規模な市場介入があっても世界経済は立ち直っていない)
時代の終わり:18世紀末の産業革命を起点とした産業資本主義の時代の行き詰まり
産業資本主義:機械化、大量生産、大量消費、を目指した体制
コンドラチェフの波の異変:第5波を支えるはずであった情報技術の特性、資本主義とうまく共存できない
産業資本主義は「成熟」に達している
コンドラチェフの波(景気循環)の終わりは利潤率の低下による恐慌だった
これまでの経済学は「財の希少性」という前提での議論
「潤沢な社会」ではモノ・サービスの追加生産の費用(=限界費用
が限りなくゼロに近い(デジタル・コピーなど)
多くのモノ・サービスが無料になっていく傾向にある
P245
情報技術への経済社会への最終的な影響
(ポストキャピタリズムへの道)
①限界費用ゼロ
②高度なオートメーション化と労働の定義の変化
(労働時間の大幅な短縮、余暇が増える)
社会的な知に媒介されてた協働的な仕事が主流になる
国家や市場から人々の活動を切り離して、「誰にも所有されない生産物」を創り出すことが生産の主流になれば、資本主義は終わり
③正のネットワーク効果
インターネット上での人々のつながりが、新しい実用性・効用を創出する
④情報の民主化
ネットワーク効果は私的な排他的所有となじまない
まとめ
情報技術の発展によって利潤の源泉が枯渇
仕事と賃金は切り離される
生産物と所有物の結びつきもなくなる
生産過程もより民主的なものになる
ポストキャピタリズム:潤沢な社会
人々が強制的・義務的な仕事から解放され、無償の機械を利用して必要なものを生産する社会
100%再生可能エネルギーと、天然資源の高いリサイクル率を実現
著者の分析
①10年以上にも及ぶ不良債権危機
②新しい情報技術への賛美
①と②を結び付けたところ
情報経済に移行すると、(限界費用がゼロになることで)価値がうまれなくなる
情報経済は価値を生み出さず、むしろ価値を時代遅れで、無意味なものにしてしまう
第2章 資本の抵抗―GAFAの独占はなぜ起きた?
ポストキャピタリズムへの移行に抵抗する4つの資本の動き
①市場の独占―限界費用ゼロ効果に対する抵抗
②ブルシット・ジョブ―オートメーション化に対する抵抗
③プラットフォーム資本主義―正のネットワーク効果への抵抗
④情報の非対称性をつくり出す―情報の民主化への抵抗
独占とは非民主主義的
1%の特権階級が富だけでなく情報も独占し、レントを徴収する「デジタル封建主義」が生まれつつある
ウーバーなどの新しい企業は、熟練を要する仕事をまったく生み出さない
第3章 ポストキャピタリズムと労働
モノが希少な時代(父親・祖父の時代)
働くということが、高い社会的結束力と幸福を生み出していた
無駄な生産活動をやめることが、環境負荷を減らし、地球を救うための最善の方法でもある
高賃金で労働する機会を求めることが最大の目標だという考えにとらわれすぎている
人間が強制労働そのものから解放される「可能性の世紀」に私たちはいる
第4章 シンギュラリティが脅かす人間の条件
マルクスの観察、鉄道・電信、原始的なネットワーク
マルクスの予測
社会に存在する、ありとあらゆる革新的な力が、人々のもつ社会的な知識に依存するようになるなら、その時、私的所有という在り方は崩れ去る
機能不全を起こしている情報資本主義に対抗するために
人権のレベルで戦う…データの対称性を求める、普遍的人権
民主主義…ビッグデータ・リポジトリ(貯蔵庫)を自分たちの手で管理することが不可欠
中国の公式イデオロギーは、マルクス主義的ヒューマニズムの否定
社会主義とテクノロジーが結び付けば、サイバー共産主義になる
合理的思考、個人主義、知識の民主化、は500年かけて実現した
第5章 資本主義では環境危機を乗り越えられない
環境危機がポストキャピタリズムへの契機となる
「エコロジカル社会主義」=ポストキャピタリズムの構想
アメリカの左派が提唱するグリーンニューディール
(経済主義と結びつく危険性がある)
第6章 生き延びるためのポストキャピタリズム
経済における、非市場的な部分、協働的で非営利的な部分を、国家が拡張して守らなければならない
①独占とレント・シーキングを禁止し、積極的投資を行うことで、情報技術産業の活性化、オートメーション化や再生可能エネルギー100%への道を切り拓くことができる。したがって、ポストキャピタリズムは脱成長ではない。
②AIの暴走を防ぐために、普遍的倫理を「人間とは何か」を定義すうヒューマニズムに基礎づけなければならない。
③市場や国家の完全な廃棄を目指す古い社会主義とは違って、ポストキャピタリズムは、市場や国家の存続する余地のあるハイブリッドモデルである




















































