[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治四十三年 745—754
747 稲の香や月改まる病心地
754 骨の上に春滴るや粥の味
745 貧しからぬ秋の便りや枕元
746 京に帰る日も近付いて黄菊哉
747 稲の香や月改まる病心地
748 天の河消ゆるか夢の覚束(おぼつか)な
749 裏座敷林に近き百舌の声
750 帰るには嬉し梧桐(ごどう)のいまだ青きうち
751 帰るべくて帰らぬわれに月今宵
752 雲を洩る日ざっしも薄き一葉(ひとは)哉
753 甦る我は夜長に少しづつ
754 骨の上に春滴るや粥の味
745 9月28日に日記に「桔梗、菊、紫苑(しおん)。桔梗は濃くふっくらしたり。紫苑は高く大きく
薄紫の菊の婆裟(ばさ)たるに似たり」とあってこの句が書かれている。婆裟は舞う袖のひるがえるさま。
750 梧桐(ごどう)―あおぎり。
752 一葉―桐一葉。桐の葉が落ちることで秋の季語。「一葉落ちて天下の秋を知る」(『淮南子(えなんじ)』に由来。
淮南子
えなんじ Hu⊂i n⊂n z°
前漢の宗室の一人である淮南(わいなん)王劉安(前179‐前122)編の書物。全21編。劉安は幕下に多くの文人・学者を擁したが,本書は,道家の〈道〉の思想を中核として,彼らの保有する該博な知識をあまねく結集して編纂したもの。元来は単に〈内書〉と称され,〈鴻烈〉と美称された。その内容は,《老子》の〈道〉と《荘子》の〈真〉の思想を依拠として,現実世界の根源を論述する〈原道〉〈俶真〉2編に始まり,次いで,その根源から現実世界が形成され変化するありさまを,天人相関説と陰陽五行説の理論に基づいて論述する〈天文〉〈地形〉〈時則〉3編を配し,以下,現実世界の諸相を政治論,人生論から戦略論などにわたって,無為・清静と外界への因循を旨とする道家思想を基調に,儒家・法家を初めとする諸子百家の思想を援引しつつ,多様多角にして重複をいとわぬ論弁によって汎論するものである。 麦谷 邦夫
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