著者のハンス・ロスリングさんはスウェーデンの医師・公衆衛生学者。惜しくも2017年の2月に亡くなられました。秀逸なグラフィックを用いてあまり上手とは言えない英語で(失礼!)まくしたてる変わったおじさんとしてTED上でファンが多かった人ですが、
2015年末期のすい臓がんを宣告され残された時間を使って息子夫婦とまとめたのが本書です。
世界的にベストセラーになっているようで1月に日本語版が発売されすでに20万部突破だそうです。構成が秀逸で、過去にロスリングさんが作成した統計を、10パターンの「正しいデータや事実(ファクト)に基づかないで、世界を誤読する習慣」典型にあてはめ解説しているところです。データがなぜ伝わらないかがよく理解できました。
また本書の最初に読者が試される簡単なテストが載っています。12問の世界情勢に関するクイズで3択形式。「チンパンジー・クイズ」と命名されてますが、5問以上正解しないと、無作為に回答したチンパンジーに負けてしまうという趣向です。ちなみに当方は1問しか正解できませんでした。
共訳者の上杉周作さんがWEB上で受けられるテストを公開されてますので、ぜひ試してみてください。
『ファクトフルネス』チンパンジークイズ
https://factquiz.chibicode.com/
前置きが長くなりました。冒頭のチンパンジークイズでチンパンジーに負ける人が多いのでしょう、続く本編の統計データがすんなり頭に入り、痛快な気分になります。データも美しく、WEB上で公開されているので、誰かに伝えたくなります。何回かにわけて紹介します。
第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
なんとなく世界は途上国と先進国に分断されていて、途上国が先進国には追い付けないという思い込みがあるようです。縦軸に「5歳まで生存する子供の割合」、横軸に「女性ひとりあたりの子供の数」をとってグラフにすると、確かに世界は2つに分断されています。
先進国=女性ひとりあたりの子供の数は少なく、死亡率は低い、途上国=女性ひとりあたりの子供の数は多く、死亡率は高い、という2つのグループに見事に分断されていて、このデータを見る限り、世界は2つに分断されています。
ただしこのデータは1965年のもので、2017年版は次のグラフです。
「途上国」の枠内は全人口の6%(13か国)だそうで、ほとんどの人が中間に存在しています。正しい認識がないと次の行動が違ったものになるのは当然で、どう行動するかは別の問題として、まずは"FACTFULUNESS"というのが本書の主幹です。


