2017年11月19日日曜日

[惹句どんどん] ヘーゲル



「従僕の眼に英雄なし」といふヘーゲルの名文句がある。ただし彼は、「それは英雄が英雄でないからではなく従僕が従僕だからだ」と言い添へる。

服を着せたり長靴をぬがせたり、身のまはりを世話してくれる卑小な男にかかると、どんな歴史的人物も偉大なところが見えなくなる、欠点しか目につかない、といふわけだ。

そういふ理屈で押し切ることで、ヘーゲルは彼の歴史的哲学を構築した。

カズオ・イシグロ『日の名残り』(早川文庫版)丸谷才一の解説より。遅ればせながらノーベル文学賞カズオ・イシグロの代表作を読了。なぜ今まで読まなかったのでしょうか。余韻の深い名作でした。感想は別途。