2017年1月1日日曜日

[惹句どんどん] 井伏鱒二



「正義の戦争よりも不正義の平和の方がいい」

井伏鱒二『黒い雨』より



田中
そもそも戦後、私たちは日本の理念というものを真剣に考えてきたことがあったのでしょうか。自由や民主主義といっても、米国が提示したものに従っていただけなのかもしれません。
 加藤                                                  日本が理念を掲げるなら、憲法の平和主義しかないでしょう。でもこれは論理ではないんです。井伏鱒二が小説「黒い雨」で「正義の戦争より不正義の平和の方がいい」と書いています。「戦争はもうこりごり」という強烈な思い。被害者意識です。しかしこれが日本流の平和理念なんです。それをしっかり受け止め、強くしていくのがいい。
中国新聞2017年1月1日付
新春対談 時代見つめて 築くべき価値とは
文芸評論家・加藤典洋(1948年生まれ)、法政大学総長・田中優子(1952年生まれ)対談より