お掃除というのはもともと組織的にやるものではないんです。組織的かつ徹底的にやろうと思うと、思っただけでうんざりして、つい先延ばしにしてしまいますから。お掃除の要諦は「徹底的にやってはいけない」ということです。とりあえず「足元のゴミを拾う」ことで満足する。手のつけられないほど散乱した場所を片付けるという経験をされた方はおわかりでしょうけれど、足元のゴミを拾うことからしかカオスの補正は始まらない。完璧な作業工程表に基づき、システマティックかつ合理的に掃除をするということは原理的に不可能なんです。そのような工程表の作成に投じる余力があるような事態はそもそも「カオス」とは呼びませんから。
(内田樹『日本辺境論』新潮選書/2009.11.20.発行 P.5-6)
内田樹先生のお言葉はすべて滋養に富んでおり発言すべからく引用可能な重みがありますが、私はこの言葉が一番好きです。
