2025年9月15日月曜日

[積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治四十三年 695—704



704 生残るわれ恥かしや鬢の霜


 [積読立読斜読] 『漱石俳句集』(坪内捻典編、岩波文庫)明治四十三年 695—704


695 秋の江に打ち込む杭の響かな


696 秋風や唐紅の咽喉仏


697 秋晴に病間あるや髯を剃る


698 秋の空浅黄に澄めり杉に斧


699 衰に夜寒逼るや雨の音


700 旅にやむ夜寒心や世は情け


701 蕭々と雨の聞くらん宵の伽


702 秋風やひびの入りたる胃の袋


703 風流の昔恋しき紙衣(かみこ)かな


704 生残るわれ恥かしや鬢の霜


692から766までは修善寺温泉での作。

9月8日の日記に694から696の句が記された


697 病間―病気がすこしよくなっている時。