2021年5月9日日曜日

2021年5月4日火曜日 [積読立読斜読] 『名句の所以(ゆえん)』(小澤實著、毎日新聞出版、2018年) 夏の部 (2)


梅雨の時期の季語「黴」「蛍」「鵜」「蜘蛛」「蛆」とあまり爽快でない句が並びます。

現代社会では季節感がなくなってしまい、このような季語を身近に感じることはありません。


かほに塗るものにも黴の来りけり 森川曉水

黴の書に占魚不換酒の印存(ぞん)す 上村占魚

亀の子のすつかり浮いてから泳ぐ 高田正子

恋を得て蛍は草に沈みけり 鈴木真砂女

人殺ろす我かも知らず飛ぶ蛍 前田普羅

阿修羅の鵜女体とききしあはれさよ 渡辺桂子

寸烏賊は/寸の墨置く/西から来て 大岡頌司

(三行の分かち書き)

鉄階にいる蜘蛛智慧をかゞやかす 赤尾兜子

塵取りの手にも夕べの蜘蛛の糸 鈴木花蓑

ふとわれの死骸に蛆のたかる見ゆ 野見山朱烏