2021年7月7日水曜日

[積読立読斜読] 『文人たちの句境―漱石・龍之介から万太郎まで』(関森勝夫著、中公新書、1991年)春の句(1)


 

菫程な小さき人に生まれたし 

                  夏目漱石

 

春の日やボタン一つのかけちがへ

                  久保田万太郎



 菫程な小さき人に生まれたし  夏目漱石


摘草の子は声あげて富士を見る 横光利一


春浅き麒麟の空の飛行雲 三好達治


春寒や編めば汚るゝ白毛絲 久米三汀


紙雛や箪笥の上のまどあかり 永井荷風


雪みちを雛箱(ひなばこ)かつぎははが来る 室尾犀星


雛の日の濯ぎ物母を淋しうす 久米三汀


辻能の剣に映る春日かな 會津八一


春の日やボタン一つのかけちがへ 久保田万太郎


泣いて行くウェルテルに逢ふ朧哉 尾崎紅葉