2021年7月19日月曜日

[積読立読斜読] 『文人たちの句境―漱石・龍之介から万太郎まで』(関森勝夫著、中公新書、1991年)常住座臥 夏の句(1)

 



能登・千枚田
千枚の青田渚になだれ入る 佐藤春夫


耕一応召
親一人子一人蛍光けり 久保田万太郎



俳人ではなく小説家の俳句ばかり集めた『文人たちの句境』。
やっと「常住座臥(=日常百態)」の夏の句に入りました。

盥、蛍、千枚田、簾、柱、などが季語ですが、
季節感のない現代ではほとんど実感のない季語になってしまっています。


葉柳や盥のきぬの浅みどり 泉鏡花

能登・千枚田
千枚の青田渚になだれ入る 佐藤春夫

青簾好いた同士の所帯かな 尾崎紅葉

黒猫のさし覗きけり青簾 泉鏡花

妻と子と同じ本読む扇風機 久米三汀

蝉涼し水踏んで来た藁草履 尾崎紅葉

白はちす夕べは鷺となるぬべし 三好達治

夕暮れや夏の柱の倚り心 尾崎紅葉

蛍籠微風の枝にかゝりけり 尾崎紅葉

耕一応召
親一人子一人蛍光けり 久保田万太郎