年間読書テーマ谷崎潤一郎の主要作品を読む。あと残り僅かとなりました。
本日は『母を恋(こ)うる記』を図書館から借りた本で読みました。検索すると全集版でなく講談社から出ている「少年少女文学館」に収録されていて、総ルビつきで、小学校高学年向けの編集でした。
1919(大正8)年、谷崎潤一郎が34歳の時の作品。二十代でデビューしてから文壇的地位は新進作家として確立されたものがあったようです。この二年前に母を亡くし、作品は谷崎の心情をストレートに表現したもののようですが、作家的な衒いからか、夢の中の出来事として構成されています。内田百閒の幻想的な小説に加え、情景描写を緻密に構成した、さすがという技巧は感じました。
少年向けの作品という位置づけは、作品そのものよりも、作品に出てくる大正年間の風俗が微に入り細を穿つようにして出てくるので、そちらへの興味も多いのかも知れません。
