年間読書テーマの後半、太宰治の主要作品を読む。
本日は短編集の新潮文庫版『ヴィヨンの妻』を読みました。
疎開先から東京の三鷹へ帰ってきたのが昭和21年、23年6月に亡くなるまでの三年間に幾多の短編や、代表作の『斜陽』『人間失格』を執筆しています。
新潮文庫版の『ヴィヨンの妻』に収められた8編は、いずれもこの期間に雑誌に発表されたものです。
親友交換 (新潮)昭和21年12月号
トカトントン (群像)昭和22年1月号
父 (人間)昭和22年4月号
母 (新潮)昭和22年3月号
ヴィヨンの妻 (展望)昭和22年3月号
おさん (改造)昭和22年10月号
家庭の幸福 (中央公論)昭和23年8月号…発表は死後ですが「桜桃」と同時期
桜桃 (世界)昭和23年5月号
昭和21年の故郷での幼馴染との交換をユーモラスに描いた『親友交換』と、ホラーの要素もある『トカトントン』以後は、太宰の自虐的な生き方による家庭崩壊を題材にした私小説であり、あまり楽しめません。代表作ばかりなのは認めますが。
佐藤春夫が太宰治を評して、「一行の洒脱なセリフを活かすために、残りの原稿を埋める」、コピーライターの才能を認めていますが、こられの短編集も例にもれず、はっとする一行が散りばめてあります。
昭和21年の作品ですが、今日的視点からもすらすらと読みやすい文体で、特に女性を主人公にして女性言葉で語らせたら天下一品の才能で、作品の量からして大作家ではないものの、根強いファンがいるのはそのせいかも知れません。






