2021年7月17日土曜日

[積読立読斜読] 『文人たちの句境―漱石・龍之介から万太郎まで』(関森勝夫著、中公新書、1991年)常住座臥 春の句(3)


風きいて老行く身なり竹の秋 永井荷風

 

もろてきてなにを忘れん茗荷たけ     中甚助

 


俳人ではなくて小説家の俳句を集めた新書。季語別ではなくて俳句の種類別に5章に分け、章の中が季語別に分かれています。


本日は第1章「常住座臥」(日常百態)の春の句です。



灌仏(かんぶつ)や吾等が顔の愚かなる 會津八一


風きいて老行く身なり竹の秋 永井荷風


もろてきてなにを忘れん茗荷たけ 中甚助


陵(みささぎ)の青葉に潮の遠音かな 會津八一


眼を病んで灯ともさぬ夜や五月雨 夏目漱石


さみだれにかへしそこねし卵哉 森鴎外


五月雨や尾を出しそうな石どうろ 泉鏡花