2021年7月2日金曜日

[積読立読斜読] 『古くて素敵なクラシック・レコードたち』(村上春樹著、文芸春秋社、2021年)



文藝春秋社から村上春樹さんの書き下ろし『古くて素敵なクラシック・レコードたち』が発売されました。当方はクラシックにはまったく興味がありませんが、「村上春樹さんの本は無条件で読む」ということにしているので、購入しました。(まったく知らない音楽について文章を読むのは不可能なので全部読んでません)。

ご自宅のレコード・コレクションから500枚弱のクラシック・レコードを選び、村上さんの解説がついた構成です。あくまで村上さんの個人コレクションからの抜粋であり、初心者向けの名曲・名盤紹介の本ではありません。ご本人も述懐されていますが、古いクラシック・ファン以外の人には「ほとんど役にたたない」本となっています。


なぜアナログ・レコードなのか?

 

P10

レコードを集めるのが趣味でかれこれ60年近くせっせとレコード屋に通い続けている。これは趣味というよりは、もう「宿痾」に近いかもしれない。

 

内訳は、ジャズが7割、クラシックが2割、ロック・ポピュラーが1割というところだ。

 

P13

本書では主に、そういう「結果的に集まってしまった」レコードたちを中心に紹介している。つまりこれはあくまで個人的な趣味・嗜好に偏した本であって、そこには系統的・実用的な目的はない。「これがこの曲のベスト盤だ!」みたいなガイドブック的意図も皆無だし、「私はこんな珍しいレコードを所有しています」とひけらかすことが目的でもない(実のところ、そこまでの専門知識を僕は持ち合わせていない)。たまたま買い込んだレコードの中で、個人的になかなか気にっているものを棚から引っ張り出してきて、「ほら、こんあものもありますよ」とお見せするだけのものだ。そのほとんどは1950年から1960年代半ばにかけて―つまり半世紀以上前に録音されたビニール製の真っ黒なディスクだ。


そんな本が何かの役に立つのかと言われると、「いや、あまり役に立たないかもしれません」と正直に答えるしかない。


P14

古いLPレコードには、LPレコードにしかないオーラのようなものがこもってる。そのオーラが、まるでひなびた温泉のお湯のように僕の心を芯からじんわりと癒してくれる。


装幀はLPジャケットのミニチュア版を模した正方形のもので、透明のスリープに入っています。この先村上春樹さんの文章の触発されて、ひょっとしたらクラシックのレコードを聴いてみるかも知れませんが、それはまた別の機会に。