2021年4月21日水曜日

[あの頃のレコード](特別編)『復活の朝』(岡林信康、2021年)

 



あの頃でもなく、レコードでもありませんが、岡林信康さん(1946年生まれ)が23年ぶりに全曲書き下ろしのアルバムを発表。タイトルは『復活の朝』。


中学時代に少し背伸びして「山谷ブルース」や「手紙」「チューリップのアップリケ」を聴いていた自分には、失礼ながらまだ新作を出すことのできる創作意欲がおありになるのかという驚きでした。。林間学校でのキャンプファイヤーで皆と歌った「友よ」も思い出深いです。


翻訳家の藤本和子さんがブローティガンの世評を表現した文章を借りるなら、


世の中は岡林信康を「フォークの神様」として、ほんの短期間もてはやしたあと、いつのまにか塵芥(ごみ)収集のある月曜日に、まるで古い帽子を生ごみといっしょに棄てるような態度で「処分」してしまった。


かくいう自分も1972年発売の『岡林信康ベスト・コレクション』というベスト盤と、松本隆さん(1949年生まれ)がプロデュースした『金色のライオン』(1973年)を聴いたきりで、過去の人として傍観しておりました。


正直今回のCD『復活の朝』も松本隆さんの熱い序文がなければ敬遠していたかも知れません。失礼ながら昔から演奏も歌もあまりお上手とは言えませんでしたが、長く歌い込まれてきたせいかヴォーカルの高音の伸びが気持ちよく、演奏も素朴な感じで温かみがあり、自分の年齢とも合っているのかも知れません。


曲はバラードあり、ブルースあり、プロテストソングあり、バラエティーに富んでいます。たぶん岡林さんはデビューからまったく変わっておらず、自分の歌いたい歌を、ずっと歌い続けてきただけなのかも知れません。


松本隆さんがなぜこれほどまでに岡林信康さんに肩入れするのかはわかりません。自分のバンドがまったく売れなかった時代に、バックバンド(1970年、1971年)の一員としてドラムを叩いた歌手の、50年後の姿が見えていたのかも。


『復活の朝』は「神様復活」と揶揄される前に、岡林さんの諧謔と見ました。


中学の林間学校のキャンプファイヤーで歌った岡林さんの代表曲「友よ」(1969年)の「夜明けは近い」は本当にそう信じられる世の中であったように思います。


50年後の「友よ」として、今回のアルバムの最後の曲「友よ、この旅を」が収録されています。「死ぬまで人生は旅」なんですかね。


いずれにせよ74歳で自作自演のアルバムを発表できる強靭さに感服。



友よ、この旅を


雨の日も風の夜も

この道を歩みゆく

ささやかな喜びに

微笑みながら


悲しみは新しい

喜びを運ぶのか

陽は沈み陽は昇る

歩いてゆこう


喜びも悲しみも

受けとめて噛みしめて

この旅を行こう友よ

終わりの日まで




[CD]

1.復活の朝

2.蝉しぐれ今は消え

3.コロナで会えなくなってから

4.恋と愛のセレナーデ

5.お坊ちゃまブルース

6.アドルフ

7.BAD JOKE

8.冬色の調べ

9.友よ、この旅を



<内容紹介>

1998年に発表した『風詩』以来、実に23年ぶりとなる全曲書下ろしアルバム。

2020年6月にYouTube上で突如発表されたアルバムタイトル曲でもある"復活の朝"をはじめ、環境破壊、生と死、自身の老い、平凡な日常のありがたさ、画一化する社会やシステム、体制への痛烈な皮肉など、今の時代の空気に切り込んだ岡林信康らしいメッセージ・ソング集。アルバムのラストはファーストアルバム『わたしを断罪せよ』(1969年発表)のラストを飾った"友よ"の続編ともいえる"友よ、この旅を"で締めくくられる。


アルバムのライナーノーツは2020年11月に京都で劇的再会を果たした盟友・松本隆氏が担当。


コンサート活動が全面休止に追い込まれたコロナ禍の中でしか生れ得なかった、74歳の等身大の岡林信康の姿が浮かび上がる全9曲。


https://tower.jp/item/5147442/%E5%BE%A9%E6%B4%BB%E3%81%AE%E6%9C%9D