スローリーディング中の年間テーマ谷崎潤一郎主要作品。
本日は『春琴抄』。1933(昭和8)年の作品。
今回は本ではなくて趣向を変えてオーディオ・ブックで。YouTubeに違法でしょうが寺田農さんの朗読がアップされていたので聴きました。朗読は2時間越えですが、途中休憩もせず、まったく飽きませんでした。
本文は句読点や改行を大胆に省略した独自の文体ですが、朗読を聴いている分には流れるような展開で、むしろ句読点・改行は不要なのではと感じます。盲目の春琴の「聴覚」にだけ頼る世界の再現を試みたのかもしれません。
作品の構成は入れ子構造で『鵙屋春琴伝』という書物を手にした私が、この書物に足らない詳細を、二人の至上の愛の解説を通じて解きほぐす、という秀逸な構成です。作品に時折挿入される『鵙屋春琴伝』は漢文調の文章で、これがまた朗読に非常に円滑に乗り、聴いていて非常に心地よかったです。
<内容紹介>
盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。幼い頃から春琴に付添い、彼女にとってなくてはならぬ人間になっていた奉公人の佐助は、後年春琴がその美貌を何者かによって傷つけられるや、彼女の面影を脳裡に永遠に保有するため自ら盲目の世界に入る。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。
新潮文庫のサイトより

