投げ出して足遠くある暮春かな 村上鞆彦
蠅生れ早や遁走の翅使ふ 秋元不死男
くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手 加藤楸邨
塗畔のぐうつと曲りゐところ 清崎敏郎
塗り終へし畦にうついて飛べるもの 清原枴童
世に出ろとわれに蛙の鳴きたつる 小杉余子
墓掴み洗ひ了りぬ山椒喰 石田あき子
烏賊に触るる指先や春行くこころ 中塚一碧楼
ゆく春やうつろの甕を草の上 長谷川春草