眼前の風景は、写真に撮ったその瞬間から過去になる。
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二度の東京オリンピックの間に過ぎた半世紀のうちに、日本人の暮しは大きく変わった。個人の人生の上昇曲線と国の経済の成長がシンクロしていた時代は終わり、豊かさがピークを迎えてから生まれたいまの子どもたちは、凋落する未来を見ようとしない。子供たちや若い世代に限ったことではないが、みんながやたらに写真を撮るようになったことも、私は気になっている。もちろんそれはフィルムからデジタルへの技術革新がもたらしたものだが、旅行をしても、食事をしても、目の前にあるものを楽しむ前にまず写真を撮りたがる。眼前の風景は、写真に撮ったその瞬間から過去になる。競うようにスマホをかざして写真を撮り合う人びとは、一刻も早く現実を目の前から消し去りたいと願っているかのようだ。未来はなくても、思い出だけあれば生きられるか…。
『明けゆく毎日を最後の日と思え』(玉村豊男さんの新刊より)。小さなな子供が「思い出づくり」がしたいと答えるのがお嫌いのようです。いつになく辛辣。
