小林信彦さんは1932年生まれ御年88歳。週刊文春連載記事の昨年度一年分がまとまって出版されました。連載最初の単行本化が1999年の『人生は五十一から』からですから20年以上の連載になります。2017年脳梗塞を起こされ左半身不随となられましたが奇跡的に執筆活動を再開され、さすがに外出しての映画演劇鑑賞は難しいようですが、DVDの再発、テレビ番組、書籍等の評論では昔日の腕力は衰えておらず、まだ数年は稀代のエンターテインメント評論を楽しめそうです。
当方はエンターテインメントの情報を積極的には取りに行っていないので、例年小林さんの連載がまとまって書籍化されると、1年遅れで吸収していっぱしの情報通を気どっています。
小林信彦さんの映画評論は、再発ものでも、リアルタイムで本編を劇場で観られており、また当時の世相を細かいところまで想起され(メモ魔らしいです)、評論が重層的で説得力があります。つまり本物ということです。
当方が昨年観た『ジュディ 虹の彼方に』を絶賛されていますが、本物のジュディ・ガーランドの本編を劇場で観た方の評論ですのでうなずけます。ジュディ・ガーランドの晩年は謎が多かったようですが、アメリカ映画では描き切れなかった闇の部分を「イギリス映画だからこそ、これが作れたのだ。」(P13)とは小林さんの評です。
最近では若いフォロワーも増えているようです。亡くなられた大瀧詠一さんと昵懇だったのは有名ですが、大瀧さんフォロワーの若いミュージシャンの間でもカルトな評論家として著名なようです。例えばみのミュージック。背面の本棚に小林さんの本が写り込んでいます。
現在何度か改編のあった『定本・日本の喜劇人』の完全版を執筆中だそうで、完成が楽しみです。
装丁は今年3月22日に享年82で亡くなられた平野甲賀さんのものです。

