2021年3月22日月曜日

[惹句どんどん] 山口瞳(小説家)

 



これじゃ盛りあがりがなくて今年が終わっちゃうじゃないか。ざわざわとくる。ナンダコレダケカという表情もある。ちょうどその時だ、佐藤が決心を固めるのは。ちょうどその時だ、快男児佐藤勝利が両肌(もろはだ)脱いで立ち上がり、必死の形相で中央に進みでるのは。

 

山口瞳『江分利満氏の優雅な生活』より「快男児」の項。毎回不覚にも落涙してしまう。昭和は遠くなりにけり。突然思い出しました。


山口瞳(ヤマグチ・ヒトミ)

1926(大正15)年、東京生れ。鎌倉アカデミアに入学。出版社勤務を経て、1958(昭和33)年寿屋(現サントリー)宣伝部に入り、「洋酒天国」の編集者・コピーライターとして活躍する。1962年『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞受賞。1979年には『血族』で菊池寛賞を受賞する。1963年「週刊新潮」で始まった「男性自身」は、31年間1614回に及ぶ。シリーズ最終巻は『江分利満氏の優雅なサヨナラ』。1995(平成7)年8月永眠。

新潮社のサイトより